ペタバイトスケールのエンタープライズストレージを提供するInfinidatは10月29日に記者向けの説明会を開き、CEOを務めるPhil Bullinger(フィル・ブリンガー)氏らがビジネスの展望について語った。
健全なモデルと開発能力によって日本市場にコミット
説明会は、日本法人であるInfinidat Japanのカントリーマネージャを務める山田秀樹氏のプレゼンテーションから始まった。日本法人は今年で設立7年目を迎える。山田氏は「ストレージについてユーザーが享受できるメリットは4つ。それは、パフォーマンス、簡便性、可用性、経済性」と話を切り出した。
しかし、クラウドの利用が広がるにつれ、データ量も増加の一途をたどっている。また、AIなど多量のデータを迅速に処理するニーズも高まっている。これに対応するストレージソリューションの開発と展開を目指して、Infinidatが立ち上がったのだという。
続けて、山田氏は「エンタープライズストレージに優れたビジネス価値をもたらす」「イノベーションを推進し、信頼性を高める」「最高品質の利用体験をエンタープライズ企業に提供する」というユーザーに対する3つの約束を示した。
同社は今後、高いパフォーマンスとレイテンシの短さを特徴とするストレージソリューションを提供するとしている。また、サイバー攻撃に対し迅速な復旧が可能なストレージの提供により、データ保護を支援するとのことだ。
山田氏は「日本のお客様は日本国内の導入事例を知りたがる。残念ながら社名は出せないが、国内でも多くの事例が生まれている。当社は今後も健全なモデルと開発能力によって日本市場にコミットしていきたい」と、展望を語っていた。
サポートサービスを武器にエンタープライズでの利用増加
次に、CEOのPhil Bullinger氏がプレゼンテーションを行った。同氏によると、Fortune50に名を連ねる企業のうち28%がInfinidatのストレージを導入しているという。特に大規模なデータを扱うエンタープライズクラスの企業が多いとのことだ。
導入企業の割合で最も多いのは「クラウドサービス&テレコム」で約26%。これに、「金融&保険」(24%)、「ヘルスケア&官公庁」(17%)、「ソフトウェア&テクノロジー」(11%)などが続く。
主な用途であるワークロードはエンタープライズのデータベースを同社のストレージで運用するというもの。近年では特にAI向けのユースケースが増加しているという。また、生成AIに関連してRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)用途での利用も増えているそうだ。
Phil氏は同社の強みについて「サイバーレジリエンスと比類ないサポートにある」と強調していた。同社のソリューションを利用する際、各社のサービスやワークロードを理解しているテクニカルアドバイザーが担当となる。これにより、技術的な質問に対しても早ければ10分以内に回答が得られるのだという。
「当社はストレージ筐体ではなく、SLA(Service Level Agreement)を売っているとも言える。一方で、これまでにSLAを満たすために製品を回収したことはないほど、アーキテクチャにもこだわっている。当社のペタバイト規模のソリューションを使っていただければ、日本のお客様にもコストメリットを感じてもらえるだろう」(Phil氏)
新ソリューション「InfiniBox G4ファミリー」も紹介
CMOのEric Herzog(エリック・ヘルツォーク)氏は、Infinidatが展開する各ソリューションの概要について説明した。同社は主に次の3つのプロダクトを手掛けている。まず、2011年に発売を開始したInfiniBox、そのオールフラッシュ版となるInfiniBox SSA、バックアップやデータリカバリーに使用するInfiniGuardだ。同社製品はすべて同じOS「InfuzeOS」で制御している。
InfiniBox G4
5月に発表された新製品である「InfiniBox G4(InfiniBox SSA G4)」は、35マイクロ秒の低レイテンシと前モデル比で2.5倍のIOPSが特徴。あわせて、14Uと小型化も図っており、コロケーションサービスやエッジ、小型データセンターでの利用に向けて展開するとのことだ。
また、InfiniVerseプラットフォームも拡張し、新たに「Mobius」プログラムを展開する。同サービスにより、G3モデルからG4モデルへ、あるいは将来的にG5モデルなどへデータ移行を検討する際、ストレージを移動せずにコントローラーを動かすだけでアップグレードが完了する。データマイグレーションを不要とした。
InfuzeOS Cloud Edition
InfuzeOSをクラウドにも拡張し、Microsoft AzureおよびAWS上でも利用可能となった。そのため、オンプレミスだけでなくクラウド上のデータに対してもシームレスな利用をサポートするとのことだ。
災害に備えたバックアップの他、データをクラウド上に置きながらあたかもオンプレミスでPoCしているかのような環境を提供する。