国内最大級の「2024国際航空宇宙展」が、東京ビッグサイトで6年ぶりに開幕した。会期は10月16日から19日までの4日間。18日までは商談のための来場者が対象のトレードデー、最終日のみ一般来場者も参加できるトレード・パブリックデーとして開催する。

  • 「国際航空宇宙展」東京ビッグサイトで6年ぶりに開幕

同展示会には国内外の主要企業や政府機関、業界関係者などが集結し、航空・宇宙・防衛の製造、運航、整備に加え、アーバンエアモビリティ(UAM:Urban Air Mobility)や脱炭素といった新分野も含めて、幅広い業種の出展企業が最先端の製品・サービスを紹介する。出展企業・団体の数は共同出展を含めて663、1,156小間(8月31日時点)。主催は日本航空宇宙工業会(SJAC)と東京ビッグサイト。展示会の英語表記は「Japan International Aerospace Exhibition 2024」で、略称はJA2024。

会場はビッグサイトの西展示棟 全館。開催日時は各日10時~17時(初日の16日のみ12時〜17時)。会期中の入場料は、トレードデーが一般5,500円、学生2,200円(会期前に登録済みであれば入場無料)。トレード・パブリックデーは前売券が1,200円、当日券が1,500円だが、大学生以下は学生証を提示すると入場無料(小学生以下は学生証の提示不要)。

  • 会場となる東京ビッグサイト

今回の国際航空宇宙展は2018年以来、6年ぶりの開催となる。近年は2012年、2016年と4年おきに開催されていたが、2020年は東京オリンピック・パラリンピック大会の影響でビッグサイトが会場として利用できなくなることをふまえ、規模を縮小し前倒しで2018年に開催。当初は2021年にも通常規模で開催予定だったが、コロナ禍でオリンピック・パラリンピックが1年延期して開催されたことなどもあって中止されている

2024年のメインテーマは「空宙(そら)で織りなす、拡がる未来。」。今後の航空宇宙産業の拡大と多様化を表し、ともに航空宇宙産業の振興を図る思いを込めたものだという。なお英語表記のメインテーマは“SOARING for DIVERSITY, over the GLOBAL-SKY, into SPACE”で、これは「航空宇宙業界において対応が求められるSDGs分野が新たに展示会に加わることを象徴した」とのこと。

JA2024の方向性を示す3つのサブテーマは以下の通り。

  • SDGsへの航空宇宙産業の取り組み “SDGs in Aerospace Industries”
  • 新たな空を拓く輸送システム “Transportation System for Emerging Sky”
  • 新しい人間活動領域への挑戦 “Challenge to New Domain for Human Activities, Outer-Space & Cyber-Space”

同展示会では上記のサブテーマに従い、従来の出展分野に加えて、近年活動が活発な脱炭素(SAF/水素/電動化)や、アーバン・エア・モビリティ(空飛ぶクルマ/ドローン)、宇宙ビジネス(小型衛星利用/宇宙探査)にもすそ野を拡げている。

ちなみに、JA2024開催を機にJAキャラクター「JACKY」(ジャッキー)が新たに誕生。「コロナ禍を乗り越え、日本の航空宇宙産業界のV字回復の期待を込めて、フェニックス(不死鳥)をモチーフにしている」とのこと。

  • JA2024の告知ポスター。右下に新キャラクター「JACKY」の姿が見える

会場中央のアトリウムには、小惑星への着陸・サンプルリターンを行い、現在も拡張ミッションのため航行を続けている「はやぶさ2」の実物大模型や、2026年度による打ち上げをめざす火星衛星探査機「MMX」の1/2模型のほか、大型基幹ロケット「H3」の模型などを展示。

  • 「はやぶさ2」実物大模型の展示

  • 上からはやぶさ2の模型を見下ろしたところ。エンジンの発光も再現されていた

  • 模型の足元に拡げられている各種展示にも注目だ

  • 火星衛星探査機「MMX」の1/2模型

  • MMXのロボットアームに取り付けられる「コアラ—」の断面模型もある

  • H3ロケットの模型も。特に説明はなかったが、固体ロケットブースター(SRB-3)を4本使う「H3-24L」形態のものとみられる

ほかにも日揮グローバルが構想中の、月で人類が長期滞在するための循環型インフラを備えたスマートコミュニティ「Lumarnity」を体験できるコーナーも用意。月面ローバーに乗車(1名~4名)し、約4分にわたって月面推薬生成プラントのVR体験が楽しめるという。

  • スマートコミュニティ「Lumarnity」のVR体験コーナー

19日のトレード・パブリックデーでは一般来場者向けのイベントを充実させており、会場内7つのエリアを巡って航空宇宙を楽しく学べる小中学生向けのクイズ&スタンプラリー、こども・アニメ専門チャンネル「キッズステーション」が取り組む宇宙メディアプロジェクトの一環として開発されている「宇宙SDGsゲーム」の体験会、航空自衛隊 航空中央音楽隊によるコンサートなどを実施。TVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」の特設コーナーやアトリウムステージでの催し、月着陸実証機「SLIM」とともに月へ降り立って探査ミッションを成功させた変形型小型ロボット「SORA-Q」のレプリカ機を実際に操縦できる企画なども開催する。詳細はJA2024公式サイトのパブリックイベントのページを参照のこと。

本誌では後日、各企業・団体のブース展示などを中心に随時レポートしていく予定だ。

  • 「宇宙なんちゃら こてつくん」の特設コーナーや、オフィシャルショップも会場中央のアトリウムに展開する