仏Yole Groupの半導体市場調査子会社Yole Intelligenceが、先端パッケージング(Advanced Packaging)業界に関する調査結果報告書「Status of the Advanced Packaging Industry 2024(先端パッケージングの現状 2024)」を発行した。

同社が定義する先端パッケージングは、図1に記された6種類のカテゴリで構成されており、このうち2.5D/3D積層パッケージングを特に「ハイエンドパフォーマンスパッケージング」に位置づけている。

  • 6分野で構成される先端パッケージング

    図1:6分野で構成される先端パッケージング (出所:Yole Intelligence)

同報告書によると、先端パッケージング市場は、2023年から2029年にかけて年間平均成長率(CAGR)11%で成長し、2029年には695億ドルに達すると予測されるという。また、先端パッケージングは2023年のICパッケージング市場全体の44%を占める規模で、AI、HPC、自動車、AI PCなどのさまざまなメガトレンドによりそのシェアは着実に増加傾向にあるとしているほか、フリップチップ、SiP、Fan-Out、WLCSP、組み込みダイ(ED)、2.5D/3Dを含むさまざまなサブ市場すべてが2024年にはプラス成長を規則するとしている。

  • 2023年から2029年に至る先端パッケージング市場のプラットフォームごとの推移予測

    図2:2023年から2029年に至る先端パッケージング市場のプラットフォームごとの推移予測 (出所:Yole Intelligence)

  • 2023年および2029年の先端パッケージングのカテゴリ別売上高

    図3:2023年および2029年の先端パッケージングのカテゴリ別売上高 (出所:Yole Intelligence)

Yole Groupのテクノロジーおよび市場アナリストであるBilal Hachemi氏は、「先端パッケージングはムーアの法則後の時代に向けた重要な戦略として政府や業界リーダーにとっての優先事項となっている」と述べており、インドやマレーシア、ベトナムなどの台頭も顕著であると指摘している。

2023年における先端パッケージング分野の売上高トップ5はASE、Amkor、TSMC、Intel、JCETとなるが、OSATやテストハウスが投資を拡大する一方、ファウンドリもパッケージング分野に参入し、OSATに脅威を与えるようになるなど、基板サプライヤやEMS/ODMも含め、さまざまなプレーヤーたちの参入により、後工程にパラダイムシフトが起ころうとしているといえる。また、地政学的緊張と技術の進歩によって推進されたサプライチェーンのもう1つの展開として、システムポリシーの定義を支援するJoint2やFAMEなどといった新しいコンソーシアムの出現も注目点となっている。

こうした変化する環境において、前工程と後工程である先端パッケージング機能を組み合わせたTSMCのビジネスモデルは業界のベンチマークになりつつある。Samsungもファウンドリ事業とメモリ事業をつなぐために先端パッケージングを活用しているほか、Intelは先端パッケージングをIDM 2.0戦略の中心要素に据えている。

  • 先端パッケージング業界の新工場、新OSAT、新コンソーシアム分布

    図4:先端パッケージング業界の新工場、新OSAT、新コンソーシアム分布 (出所:Yole Intelligence)

なお、2024年時点での先端パッケージング業界の発展のカギを握る技術トレンドとしては、IC基板技術、熱管理、ハイブリッドボンディング、インターコネクト、チップレット、裏面電源供給網、光学系同時パッケージング、HPC/AI/AR・VRなどがあげられるという。

  • 2024年時点での先端パッケージング業界の発展のカギを握る技術トレンド

    2024年時点での先端パッケージング業界の発展のカギを握る技術トレンド (出所:Yole Intelligence)