米国商務省は、「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」に基づきHPに対して最大5000万ドルの直接資金提供を行うと発表した。
対象は米オレゴン州コーバリスにあるHPの既存のMEMSおよびマイクロ流体デバイス研究開発・製造施設の拡張と近代化改修としている。同施設は、研究開発から量産までを網羅する同社の「ラボからファブ」エコシステムの一部となっている。
商務省によると、半導体微細化の応用技術であるマイクロ流体工学およびMEMSに関する独自の専門知識に根ざしたHPの技術は、半導体ベースのハードウェアのパフォーマンスと効率を向上させる独自の方法を提供しているという。
今回の資金提供は、創薬、細胞研究、細胞株開発に使用されるライフサイエンス研究機器の主要コンポーネントであるシリコンデバイスの製造をサポートするものとなり、ライフサイエンスの研究開発の速度と精度を向上させることに役立つとしているほか、同社のデバイスは、公衆衛生の重要な焦点領域に役立ち、ハーバード大学医学大学院、疾病予防管理センター、メルクを含む学術界、政府、民間セクターのパートナー機関のパフォーマンス効率を高めることができると商務省は説明している。
なお、ジーナ・レモンド米国商務長官は「バイデン・ハリス政権のHPへの投資は、米国政府が半導体サプライチェーンのあらゆる部分に投資していること、そして半導体技術が創薬や生命科学の重要機器の革新にとっていかに重要であるかを示している」と述べている。
また、HPのエンリケ・ロレス社長兼CEOは、「この投資は、HPに施設の近代化と拡張の機会を与え、マイクロ流体技術へのさらなる投資を可能にしてくれる。マイクロ流体技術は、顕微鏡レベルでの流体の挙動と制御を研究する技術である。それにより業界全体に革命的な変化をもたらし、スピード、効率、精度を実現し、ライフサイエンスとテクノロジーの次世代のイノベーションへの道を切り開く可能性を秘めている」と述べている。