Qualcommの投資子会社であるQualcomm VenturesやIntelの投資子会社であるIntel Capitalなどの米国半導体系投資会社が、中国のAIや半導体スタートアップへの投資を継続していることに米国政府が警戒を強めており、規制に乗り出そうとしていると英Financial Timesをはじめとする複数の海外メディアが報じている。

Financial Timesによると、Intel Capitalは、中国を拠点とするAIなどを手掛けるテクノロジー系新興企業43社の株式を保有しているとおり、直近でも2024年2月に、5Gおよびクラウドインフラプラットフォームを手掛ける深センのAI-Linkへの2000万ドルの投資、2023年も上海のマイクロ光学ハードウェアメーカーであるNorth Ocean Photonicsの9100万ドルの資金調達ラウンドに関与したとされる。

Intelの現在の中国における投資対象には、AI、半導体、クラウドサービス、電気自動車、通信、仮想現実システム、電池などの企業が含まれているというが、Intel Capitalは、2014年に110社以上の中国企業に6億7000万ドルを投資したこと、2015年も8社の中国企業に6700万ドルを投資したことを発表しているが、それ以降は中国への投資規模を公表していないこともあり、米国政府も実態を正確には把握できていないという。一方のQualcomm Venturesも中国のスタートアップ企業に積極的に投資を行ってきたが、その実態は公表されていない。米財務省は、こうした米国企業が投資している中国企業のAIや半導体製造技術が最終的に中国での軍事利用につながる可能性を踏まえ、中国企業に対する投資を規制する方向で検討しているようだが、実際にそうした規制が発効されれば、米国資本による投資が中国の一部あるいはすべての企業から引き上げられる可能性があるという。

米国の投資家たちにとって中国で次々と誕生しているAIスタートアップは魅力的に映っているようで、今後の動向が注目される。