三井不動産は2024年7月26日、台湾の国立陽明交通大学(NYCU)ならびに工業技術研究院(ITRI)と日本でのサイエンスパーク構築に関する連携協定を同年7月18日付で締結したことを発表した。

台湾各地にサイエンスパーク(科学園区)が設置され、台湾における科学技術産業の活性化の礎となってきた。その多くに半導体産業に関連する川上から川下までさまざまな企業や大学などが集積し、周辺には同産業に関わる人々に向けた生活環境が整備され、街全体としての産業の発展・創造が進められてきた。その中の1つである新竹サイエンスパーク内にキャンパスがあるNYCUは、最先端半導体分野の研究開発に強みを持ち、台湾内外の半導体関連企業に数多くの人材を輩出している半導体分野において世界トップクラスの大学であり、日本の大学や企業とも先端半導体分野を中心に連携をしてきた実績を有している。

  • 三井不動産と陽明交通大学との調印式の様子

    三井不動産と陽明交通大学との調印式の様子 (出所:三井不動産)

一方、台湾最大の産業技術研究・開発機関であるITRIは、TSMC、UMCなどの世界を代表する台湾のファウンドリ企業などを輩出してきたほか、累計で3万件以上の特許を取得するなど、グローバルで活躍する多くの企業と共同研究を実施してきた実績を有している。

  • 三井不動産とITRIとの調印式の様子

    三井不動産とITRIとの調印式の様子 (出所:三井不動産)

今回の連携協定は、そうしたNYCUやITRIなどが有するサイエンスパークに関するノウハウなどを日本に持ち込むことで、日本国内におけるサイエンスパークをはじめとする半導体クラスターを核とした街づくりを推進することを目指すためのもので、その第1弾としてITRIと、半導体産業の進出が活発な九州における日本型のサイエンスパークの実現検討を進めていくという。

同協定では、NYCUが、台湾企業や研究機関の日本進出動向を踏まえた情報や、半導体人材育成などに関する情報や知見の提供、ITRIが台湾のサイエンスパーク構築に関する情報や知見の提供、三井不動産が日本国内での半導体クラスターを核にした街づくりに関する情報や知見を提供する形で連携を進めていくとしている。

なお、三井不動産は今回の協定締結を踏まえ、NYCUやITRIとの連携を通じて、日本型のサイエンスパークの検討を進め、将来的なサイエンスパークの実現を通じて、日本と台湾の半導体関連のイノベーション創出・産業創造に貢献していきたいとしている。