ブリヂストンは6月27日、福岡県と久留米市が連携し、久留米市を中心にバイオコミュニティの形成を目指している福岡バイオコミュニティが実施するプロジェクトへ参画し、九州大学(九大)と共同で乾燥地帯で育つ「グアユール」由来の天然ゴム生産性向上に向けた研究を開始したことを発表した。
グアユールは、米国南西部からメキシコ北部にかけての乾燥地帯が原産の低木で、熱帯地域に偏在し病気や気候変動の影響を受けやすい現在の天然ゴムの主要な供給源である「パラゴムノキ」とは異なり、乾燥地帯でも栽培できるほか、組織に含まれるゴム成分がパラゴムノキ由来の天然ゴムによく似た性質を持つことから、乾燥地帯の緑化にも貢献する植物という観点を含め、新たな天然ゴム供給源になることが期待されている。そのためブリヂストンでも、今後の成長に向けた探索事業の1つとして、社外パートナーとの“共創”を軸に、新たな天然ゴムの原料としてグアユールを活用するべく技術探索を推進してきたとする。
しかし、樹液を凝固・乾燥させて天然ゴムが得られるパラゴムノキと違い、グアユールから天然ゴムを得るには、植物体をまるごと粉砕、溶媒抽出、不純物の除去という工程が必要となるなど複雑な工程を経る必要があるため、栽培技術から、天然ゴム抽出技術、タイヤへの適用技術に至るまでの一貫した研究開発が必要であることから、今回の取り組みでは、福岡バイオコミュニティが構築した産業化プラットフォームに参画することを決定し、九大と共同でグアユールから収穫できるゴム量を向上するための方法や、品種改良に関する技術開発を行うことで、実用化を目指すとしている。
なお、ブリヂストンは、共創をベースにバイオ技術を活用した技術イノベーションを推進し、再生可能資源を拡充することで、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Ecology 持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐこと」にコミットしていきたいとしている。