【三ツ星ファームやBtoB事業で急成長】イングリウッド 野仲正樹COO「前期売上148億円、今期も大幅増収へ」

小売業界に特化したビジネスのDX支援やD2C事業を展開するイングリウッドの2023年8月期の連結売上高は148億円だった。今期の売上高は前期を大幅に超える数字で着地予定だという。BtoB事業とBtoC事業で堅実に成長を続けるイングリウッドの取締役COO データテクノロジー事業本部長 野仲正樹氏に成長の秘訣と今後の展望を聞いた。

2023年を振り返ると、BtoC事業においては、会社として方向性が定まったタイミングだったと振り返る。2021年に自社ブランドをリリースし、2022年に積極的にPRを行い、そして2023年、芽が開き始めた。

数年を振り返ると、会社としても注目を浴びてきたのではないかと思う。まずコロナ禍で食品のD2Cに注目が集まり、業界としても伸びた傾向がある。

さらに当社は芸能人を起用したブランドを展開しており、営業活動も強化した。自社ブランドを展開している企業は少なくないが、その中でもD2Cブランドをうまく展開している企業として、当社に注目が集まったと思っている。

タイミングが良かったことも成長の要因だったと思っている。2021年に冷凍宅配食のサブスクリプションサービス「三ツ星ファーム」の提供を開始したが、この時期はコロナ禍で、自宅でご飯を食べる人が増えた。

冷凍宅配食業界はナッシュが先行しており、2番手以降は混戦状態だと感じていた。当社は小売流通領域のビジネスを長く展開しており、さらにデジタルに強みを持っている。市場の中で2番手になれると思い、事業拡大に注力した。

<商品と販路を強化>

2024年1月、「三ツ星ファーム」の累計販売食数は1000万食を突破した。要因としては、1つの1つの集客チャネルをハックできたことが良かったと考えている。

販売するチャネルは自社ECサイト、モール、店舗と限られている。集客方法も広告、インフォマーシャル、YouTubeと差分がない。今までの経験を生かし、全てのチャネルで集客を実施できたことが奏功した。

だが、大事なことはマーケティングだけでは他社よりも勝つことはできない。やはり根本となる商品力が重要になる。おいしい味でないと消費者から納得してもらえない。商品力はまさに会社として重要視していることだ。

昨今、多くのD2C企業が実践している対面販売で、どのくらい売り上げを伸ばせるのかは分からない。それよりもコンビニエンスストア(コンビニ)への商品卸の方が個人的には効果的だと考える。

コンビニの卸は慎重に行わなければならないと思うが、「三ツ星ファーム」の商品をそのままコンビニに卸しても購入されにくいだろう。価格も高ければ内容量も豊富だ。実施するとなると、「主食だけ」「副菜だけ」のように特定のジャンルに特化して販売することが重要になるはずだ。パッケージも店舗用のパッケージを開発する必要があるだろう。

コンビニはすでに弁当を販売している。難易度は高いが、そこを攻略することができれば、今後、当社の法人企業にノウハウを共有できる。

<BtoBはBtoCに生きる>

BtoB事業の経験はBtoC事業にも生きている。BtoB事業では、企業の事業計画からクリエーティブ、広告運用、フルフィルメントまで一気通貫で支援する。この経験が「三ツ星ファーム」をはじめとするBtoC事業にも生きている。

BtoB事業で学んだことをBtoC事業に、そしてBtoC事業で学んだことをクライアントがいるBtoB事業に生かす。当社では”循環型モデル”と呼んでいるが、双方がうまく回ることで、企業としても成長する。

【記者の目】

イングリウッドの成長余地は大きいと思っている。なぜならBtoB事業とBtoC事業の双方を兼ね備えているからだ。「三ツ星ファーム」や芸能人のMEGUMIがプロデュースした「Aurelie.(オレリー)」などを展開し、そこで得た知見をBtoB事業に生かしている。BtoB事業の知見を自社のブランドに生かすこともできるだろう。今後どのように事業を拡大していくのか。非常に楽しみだ。