三菱UFJ銀行は6月20日、半導体分野の人材を育成するための産学官組織「九州半導体人材育成等コンソーシアム」へ5月8日付で参画したことを発表した。

九州エリアは経済産業省(経産省)が策定した半導体・デジタル産業戦略において、産業用先端半導体の世界拠点としてサプライチェーンの中核と位置づけられ、半導体業界のみならず、関連するサプライチェーンや、地域経済活性化による地元企業の投資需要拡大への期待が高まっていることもあり、経産省 九州経済産業局および九州半導体・デジタルイノベーション協議会が2022年3月、産学官で構成する九州半導体人材育成等コンソーシアムを設立。産学官の関係機関が連携し、半導体人材の育成や確保、企業間取引やサプライチェーンの強化、海外との産業交流促進を目指した取り組みが進められている。

このコンソーシアムでは、九州が目指す2030年の3つの姿として、「だれもが『半導体は社会基盤の主人公である』とその価値を理解している九州」、「だれもが『半導体を学ぶ楽しさ』に共感している九州」、「半導体産業で働くことに『誇り』と『生き甲斐』を実感する九州」という目標を定めている。

半導体は我々の暮らしや豊かな社会を支える主人公であり、社会の脳、眼、筋肉であるため、子供たちや社会人に向けて、半導体を知り得る機会をつくり、半導体の重要性や魅力ある産業であることを発信。そして、多くの学生が半導体の研究に関わり、半導体産業への就職を希望するよう、学生に対する学びの場を可能な限り提供し、半導体への動機付けやマインドセットをもたらすような人材育成に係る仕組みを構築していきたいとする。また、半導体を学んだ学生や社会人が、九州で働くことを望み、より一層安心して快適に生活できる就業環境を整備することも目指すとしている。

同社でも、半導体はデジタル社会を支える重要基盤であり、日本の経済安全保障にも直結する重要な戦略技術との認識から、これまでも2022年11月に次世代半導体研究開発プロジェクトを担うRapidusへ出資・参画を行ったほか、2024年4月には同社内に新組織「半導体バリューチェーン推進室」を立ち上げるなど、専門的知見の結集による半導体産業全体へ貢献する体制強化など、日本の半導体業界への支援を行ってきており、今回の同コンソーシアムへの参画決定も、そうした活動の一環として、九州エリアでも能動的・主導的な半導体業界への貢献を目指すことを目的に決定したとする。

なお同社は、これまでの取り組みで蓄えてきた産業知見やネットワーク、培ってきたファイナンスに関するノウハウなどを最大限に活用することで、同コンソーシアムが目指す2030年の3つの姿の実現に貢献していきたいとしている。