TSMCがすでに生産を開始しているというIntelの次世代CPU「Lunar Lake」(開発コード名)の各タイルは、2025年初頭に生産量が増加する見通しだと台湾DigiTimesが報じている。
IntelはCOMPUTEC 2024にて、Lunar Lakeを構成するComputeタイル(3nm:N3B)やPlatform Controllerタイル(6nm:N6)を、自社製造から「現時点で利用できるより良いプロセス技術を選ぶ」(IntelのPat Gelsinger CEO)として、TSMCで製造委託することを明らかにしていた(このほかBaseタイルがあるがこれは内製の模様)。
台湾の半導体業界関係者によると、IntelからのTSMCへの直近の大規模な製造受注は、TSMCの業績改善に寄与する一方で、IntelがAMDやNVIDIAなどと先端プロセスの生産能力確保で競うことになり、その限られた枠の確保を目指している他社にとっては脅威となるという。
また、3nmプロセスの生産能力は限られていることもあり、生産価格が上昇する可能性もあるとしている。2024年第2四半期中にTSMCはすべての顧客に向けて新たな価格戦略を通知したとも言われており、その中には5/3nmプロセスを5%ほど値上げする予定であること、ならびに日米を含む海外工場の料金を割増す戦略が含まれている模様だという。なおTSMCは、各顧客からの受注状況や価格交渉については、秘密保持契約に基づき、従来より一切公表しないことを公言している。
現在、すでにTSMCは3nm対応ファブでの生産をフルに行っており、月産10万枚とも言われる状況にあっても供給が追い付いていないとされる。そのため、月産12万~15万枚まで生産能力を引き上げることを目指して、設備投資を継続的に推進しているという。