旭化成は6月12日、同社子会社である米Crystal ISが開発・製造している4インチ(100mm)AlN(窒化アルミニウム)単結晶ウェハの品質が高まってきたことを踏まえ、国内外の半導体デバイスメーカーに向けて、2024年度下期よりサンプルの提供を開始することを発表した。

AlNはSiCやGaNと同じワイドバンドギャップ半導体として知られ、次世代パワーデバイスなどへの活用が期待されているが、その製造には2000℃以上となる昇華炉内部において精緻な温度コントロールを行う必要があり、ウェハサイズの大口径化がなかなか進まないという課題があった。Crystal ISは1997年の創業以来、AlNウェハの大口径化に向けた研究開発を続けてきており、2023年8月には4インチウェハの開発に成功したことを明らかにしていた。

今回のサンプル提供の開始は、4インチウェハの品質向上を図った結果、ウェハ面積の99%以上が使用可能な領域として確認されたことを受けたもの。同社自らが同ウェハを用いてUV-C LEDの製造を行う形で確認したという。

なお旭化成では、サンプル提供開始の初期段階においては提供できるサンプル数に限りがあることに注意してもらいたいと説明している。

  • さらなる改良により使用可能面積を99.3%まで向上させたAlNウェハ

    左が過去に開発した使用可能面積90%のAlNウェハ、右がさらなる改良により使用可能面積を99.3%まで向上させたAlNウェハ (出所:旭化成)