三菱電機グループは、6月4日から7日まで東京ビッグサイトで開催されている世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2024」で、クールマルチや除湿機などの低温機器と総合管理システムによる集中制御で、低温倉庫や食品工場の品質管理強化やさらなる省エネ・省人化につながる提案を行っている。

  • FOOMA JAPAN 2024における三菱電機ブースの様子

    FOOMA JAPAN 2024における三菱電機ブースの様子

食品工場には、「エネルギーコスト削減」「設備の予防安全・異常時対策」「食の安全」「人手不足対策・生産性向上」「SDGs」などさまざまな課題があるほか、同じ工場内でも役職や職場環境によって生じる悩みもあり、そうしたさまざまな工場内外の課題に対して同社は、一括管理とさまざまな機器を連携させることで解決につなげていくことを目指している。

展示の中で特に注目を集めていたのは、空調冷熱総合管理システム。空調設備の設定を適宜変更するのは手間がかかるため、年間を通じて同じ設定にしている工場も多いというが、このシステムを活用すれば、顧客の工場環境それぞれに合わせた最適制御を行ってくれるため、省エネに貢献するという。

  • 空調冷熱総合管理システムの管理画面

    空調冷熱総合管理システムの管理画面。最新の機種ではより分かりやすく管理できるようになった

機能としては、省エネ・デマンド設定という、デマンド制御が搭載されており、デマンド段階に応じてどの部屋でどのような制御をするのか入庫品や運用に合わせた設定を可能とする。この機能を活用することで、電気代が導入前と比べて約15%削減した事例もあるという。

また、スケジュール設定も可能であるため、入出庫がない日は霧取回数を減らす、外気温度が低い夜間は設定温度を下げて冷やしておくなどと、その時々の気温や湿度に合わせてスケジューリングも可能だという。

さらに、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)に必要な温度記録もできるほか、庫内温度の記録や保管に加え、帳票やグラフ出力もでき、記録や報告作業に伴う負担を削減することで生産性向上にも貢献するともしている。

従来、冷蔵庫扉横の温度記録への記入や品質管理の記録、荷主・納入先への報告などは手作業で行われることが多く、現在も手作業で行っている企業もあるという。そうした中、このシステムを活用すれば、毎日2時間に1回、手作業で30か所(作業時間1分、24時間365日)作業することを想定した場合、温度記録にかかる作業を年間で2190時間改善する効果が見込めるとした。

最新の機種では、これまでの機能では空調冷熱機器を200台までしか管理できなかったものを400台まで一括管理できるようになったほか、低温機器接続の際に従来は空調機や熱交換器しか同じフロア図のタブで表示できなかったものを、冷凍機も同じタブに表示できるようになり視認性が向上、ヒューマンエラーの抑制につながるとのこと。さらに、従来はパソコンにつないだ際、画面デザインを専用タッチパネルと同じUIで表示できなかったが、パソコンにつないでも同じUIとなるようにデザインを統一させたことで、より管理がしやすくなったとしている。

その他、業務用エコキュートの展示も行われていた。小型から大型まで幅広いラインナップを取り揃えており、飲食店からスーパーマーケット、給食施設、寮、介護施設、ホテル旅館、食品工場など各施設にあったエコキュートを提案できるとしていた。

  • オールインワン型業務用エコキュート「QAHV-N560」の模型

    オールインワン型業務用エコキュート「QAHV-N560」の模型

同社のエコキュートは、地震などの非常時に水を取り出しやすく給水の開閉もわかりやすい「パカっとハンドル」技術を全機種に搭載するなど断水対策もなされているほか、耐震クラスS(水平震度1.0)を達成しており地震対策も対応済みだという。そのほか、貯湯ユニットにお湯が残っている場合、停電の際もシャワーや蛇口でお湯を使用できるほか、停電の際も本体内蔵のリチウムイオン電池によるバックアップで、リモコン設定内容をそのままキープしてくれる日時バックアップ機能といった停電対策も搭載されているとしており、ロケーションやニーズにあったエコキュートを配置することで、光熱費削減とカーボンニュートラルの実現に貢献するとしていた。