【国土交通省】日本版ライドシェア開始 さらなる規制緩和は慎重姿勢

国土交通省は4月、自家用車で一般ドライバーが客を運ぶ「日本版ライドシェア」を解禁した。規制緩和に当たっては急ピッチで準備が進んだことから、8日の開始時までにタクシー会社を通じた認可手続きは一部しか間に合っておらず、手探りの事業スタートとなった。政府の規制改革会議や一部自治体などからはさらなる規制緩和を求める声も出るが、タクシー業界内に警戒感が強い中、国交省は慎重な姿勢を示している。

 8日に開かれた出発式では、斉藤鉄夫国交相や河野太郎デジタル行財政改革担当相が出席。スマートフォンのアプリからの乗車予約から乗車までを体験した。東京都や京都府内の一部では、認可を得た自家用車が運行を開始したものの、タクシー会社と一般ドライバーが雇用契約を結んだ上で研修などが必要となる過程には時間もかかり、台数はまだ少ない状態だ。

 今回解禁されたのは東京都、神奈川県、愛知県、京都府の一部地域で、運行できる時間もそれぞれタクシーの不足感が強くなる時間のみに制限されている。5月以降はさらに8地域でも運行が可能となるが、利用者にとってタクシーの不足感を解消するまでに致るかは不透明だ。

 タクシー業界は、ライドシェアについてあくまでもタクシーの不足する地域や時間を埋めるだけの補完的な運行サービスだと強調する。今後の焦点は、今回のライドシェア解禁後の状況などを踏まえて、政府の規制改革推進会議が6月にどのような方向性を示すのか。国内での全面解禁やさらなる規制緩和に積極的な一部政治家や経済界の動向が注目される。

望月晴文・元経済産業事務次官 「日本にはヒト・モノ・カネの要素が全部揃っている」