【厚生労働省】身寄りのない高齢者の支援 市町村の財産管理などに補助

厚生労働省は24年度、いざというときに頼る人がいない身寄りのない高齢者の財産管理や身元保証を市町村が支援するモデル事業を始める。外からの情報が届きにくい単身者に適切なサービスを届け、判断能力があるうちに将来の「備え」をしてもらう。

 認知症などで判断能力が十分でない人に対しては、後見人が金銭管理や契約支援を行う成年後見制度がある。一方で、判断能力がある人への支援はこれまで、家族や親族が行うことが前提で仕組みが十分に整備されていなかった。

 モデル事業の内容は、市町村による①相談・調整窓口の整備②身元保証の支援パッケージの提供―を想定。1つの取り組みにつき、500万円を上限に経費の4分の3を補助し、両方の実施も可能とする。

 相談・調整窓口の整備では、身寄りのない高齢者らの相談に応じるコーディネーターを配置。相談者のニーズに応じて自治体や民間事業者が提供する法律相談、終活支援、財産管理のサービスなどを組み合わせた支援プランを作成し、各種契約が希望通りに履行されたかを確認する。

 身元保証の支援パッケージでは、▽入院時や緊急時の身元保証▽公共料金の支払い代行といった日常生活支援▽遺品整理や埋葬など死後の事務支援─を総合的に実施する。民間の身元保証サービスは平均147万円と高額なため、十分に資力がなくても利用できるようにする。

 身寄りのない高齢者の身元保証を巡っては、厚労省が23年度に実態調査を実施。その結果を踏まえ、政府は近く事業者が開示すべき事項などをまとめたガイドラインを初めて策定する予定だ。ある同省幹部は「まずは事業者にルールに則ってサービス提供してもらうことが大事。その上で今後の方策を検討したい」と話していた。

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