英国に本拠を置く情報提供企業Informaの半導体ハイテク市場動向調査ブランドであるOmdiaが2023年の半導体企業売上高ランキングトップ20を発表した。
それによると、売上高トップには前年2位のIntelが返り咲いた。また、2位には前年トップだったSamsung Electronicsではなく、生成AIの需要急増を追い風に売上高を前年比2.4倍に伸ばしたNVIDIAが前年の8位から一気に躍り出ており、Samsungは3位に沈んた。
NVIDIAの発表によると、同社の2024会計年度(2023年2月〜2024年1月期)の売上高は609億2000万ドルで、一方のIntelが発表した2023年通年売上高542億ドルを上回るため、一般には2023年のトップ企業をNVIDIAとする向きもあるが、Omdiaの半導体企業売上高の定義や集計方法を明らかにしていないものの、1-12月の通期とした場合はIntelの方に軍配が上がった模様である。
また、トップ20社に日本企業は3社がランクインした。日本勢トップは16位(前年同順)のルネサス エレクトロニクスで、次いで17位(同18位)のソニーセミコンダクタソリューションズ、キオクシアはメモリ不況のあおりを受けて、前年17位から順位を3つ落として20位まで後退した。ちなみにキオクシアのみならず主要メモリメーカー各社はいずれも売上高を同3~4割減としており、各社ともに順位を下げている。
なお、このランキングには売り上げの2重カウントを避けるため、ファウンドリの売上高は含まれていない。ファウンドリの売り上げというものは、その利益が上乗せされる形で半導体企業各社の売り上げに計上されているためである。ただし、ファウンドリトップであるTSMCの2023年売上高は693億ドルであり、これはいわば各半導体企業への卸値であることを考えると、実はTSMCが隠れランキングトップ企業となる点に注意する必要があるだろう。
Omdiaによると、2023年の半導体企業売上高の合計額は前年比8.8%減の5448億ドル、トップ20社に限れば同8.3%減の4186億ドルとなったという。この動きは、2021年から2022年にかけて起こった記録的な成長直後の半導体市場の景気循環の性質を浮き彫りにしたものだとOmdiaでは指摘している。
2023年は、半導体業界のほとんどのセクタが低迷する中において、AI分野が重要な市場けん引役として台頭し、同分野に注力する企業がその恩恵を享受する形となった。特にNVIDIAはこの分野の明らかな勝者であるほか、AI処理で必要となる高帯域幅メモリ(HBM)も強い需要が生じ、SK hynixがその恩恵を受けた。ほかの大手メモリメーカーも参入を進めており、低迷した2023年のメモリ市場の中にあって、HBM市場は前年比127%増(数量ベース)と高い伸びを示しており、Omdiaでも2024年はHBMがさらに高い成長率を記録する可能性があると指摘している。
また、2023年は自動車分野もこれまで以上に存在感を増したとする。同年の自動車分野の成長率は15%を超え、市場規模も750億ドルを超えたという。電気自動車の増加と自動車への高度知能化が急速に進んでおり、当該分野向け半導体需要が増加しており、半導体市場全体の約14%を占めるまでに成長したという。