シーメンスヘルスケアは2024年4月4日、事業戦略説明会を開催し、日本市場における同社のビジネス概要や、2025年に向けた中期戦略、日本の医療機関のイノベーションに貢献するさまざまなソリューション群について説明を行った。

4月1日付で社長交代を行ったシーメンスヘルスケア

同説明会の冒頭、2024年4月1日付でシーメンスヘルスケアの新社長に就任した櫻井悟郎氏が挨拶を行った。それまでシーメンスヘルスケアおよびシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクスの代表取締役を務めていた森秀顕氏は、Siemens Healthineers Varian アジア・パシフィック・ジャパン リージョンの代表に就任。後任として、シーメンスヘルスケア ダイアグノスティックイメージング事業本部 執行役員 本部長を務めていた櫻井氏が新社長に就任し、日本におけるヘルスケア事業全体を今後統括していくこととなる。また、シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクスの代表取締役社長も森氏の後任が決まるまでの間、兼務するとしている。

  • 森秀顕氏

    Siemens Healthineers Varian アジア・パシフィック・ジャパン リージョンの代表に就任した森秀顕氏

  • 櫻井悟郎氏

    シーメンスヘルスケアの新社長に就任した櫻井悟郎氏

櫻井氏は新社長就任の抱負として、「森前社長の後を引き継ぐということで、非常に大役だと思っており、内示をもらってから身が引き締まる思いです。これまで森前社長が築いてきたビジネスをしっかりと引き継ぎながら、さらに日本の医療がよりよくなるよう、新しいマネジメントチームとともに会社を成長させていきたい」とコメントした。

予防・発見から治療まで幅広いポートフォリオで事業の成長を加速

同社は、2022年から2025年をさらなる成長の加速期間である「New Ambitionフェーズ」だとし、大きく分けて4つの強みを生かした事業領域に力を入れていくという。

事業の主な方向性としては、「イメージング」や「ダイアグノスティクス」事業にて、画像診断や超音波診断装置など高性能な機器で患者の身体を検査。そして、「アドバンストセラピー」や「バリアン メディカル システムズ」事業における先進的な医療装置の開発を通して、よりがんなどの病気の治療につなげていくとし、予防・早期発見から治療・フォローアップまでの幅広く製品ポートフォリオを提供していくことで、日本の医療業界にイノベーションを起こしていきたいとしている。

  • 予防・早期発見から治療・フォローアップまでの幅広い製品ポートフォリオを提供

    予防・早期発見から治療・フォローアップまでの幅広い製品ポートフォリオを提供

医療機関から検査装置まで効率化を実現するソリューションをトータルで提供

また同社は検査工程の自動化やデジタル化など医療DXを促進させるソリューションの提供を推進することで、検査室のタスクシフトの効率化を目指すともしている。現状、多くの病院において検査のリソースを増やせていないのが実態であり、いかにそうした現状の業務効率化を図り、業務の拡充につなげるかが重要だとする。例えば、検査業務や検査結果を一元的に管理することで業務効率の向上につながれば、検査収益の最大化につながり、業務拡充も行えるようになるため、現在の医療課題の1つである医療の働き方改革にも貢献することになるだろうとしている。

また、検査工程のDX化だけではなく、検査装置そのものもより高い精度の治療を効率よくできることを目指したオートメーション化を促進しており、「セルフドライビング」、「リモートコントロール」、「パワーアシスト」などの機能を付けることで、医療従事者の負担軽減と病院経営効率の改善に貢献しているとのこと。さらに、幅広い疾患領域にて適用できるよう製品ポートフォリオの拡充も継続して進めており、これまでに以上に多くの人が治療を受けられるようにつなげていきたいとしている。

  • 装置のオートメーション化を促進することで医療従事者の負荷軽減と病院経営効率の改善に貢献

    装置のオートメーション化を促進することで医療従事者の負荷軽減と病院経営効率の改善につなげることができるようになる

そうした検査装置の高性能化としては、例えばマンモグラフィ(乳房X線撮影装置)は、一般的に「痛い」というイメージが強く、そうしたイメージから検査を行いたくないとする被験者も多くいたが、最新モデルでは、従来は検査時間が25秒ほどかかっていたところを5秒に短縮することに成功しており、より被験者の負担を抑えた状態で検査できるようになり、乳がんの早期発見に貢献しているとする。

  • 被検者のニーズを徹底的に考えたトモシンセシス乳房撮影装置を日本国内に浸透させることを目指す

    被検者のニーズを徹底的に考えたトモシンセシス乳房撮影装置を日本国内に浸透させることを目指すとする

このほか、バリアンの事業では、AIを活用することでワークフローの最適化を行い、全自動でのコンツーリング(輪郭描出)を実現。シーメンスのイメージング・先進的技術と、バリアンの放射線技術の共通部分が「治療計画」であるとし、その部分がまさにこれまでのがん医療のボトルネックになっていた部分だとする。

  • AIを用いたCBCTベースの即時適応放射線治療ソリューション「ETHOS Therapy」

    AIを用いたCBCT(Cone Beam Computed Tomography)ベースの即時適応放射線治療ソリューション「ETHOS Therapy」

がんの治療計画は、従来人の手で作られており、数日から数週間にわたって行われる放射線治療において、毎回の照射のたびに、日々患者の身体の変化や、その日の腫瘍の位置や形状変化に合わせて治療計画を最適化しなおす作業には、時間と労力ががかかるという課題があり、実用的とは言い難かったという。それがバリアンの最新の適応放射線治療ソリューションを活用すれば、AIを組み合わせたAdaptive Intelligenceにより、マルチモダリティ画像と連携し、毎回の治療時の位置決めで取得するCBCT画像から、患者の最新の解剖学的状態と組み合わせることで、複雑化を解消しつつ、治療時の患者状況に適した治療計画を日々選択することができるようになり、治療全体の大幅な時間短縮が可能になるとしている。

なお、シーメンスヘルスケアは今後も医療におけるトータルなソリューションの提案によりイノベーションを起こしていくことで、日本の医療業界がよりよいものへと発展していくことに貢献したいとしている。