Space BDは3月21日、新潟県の燕鎚起(ついき)銅器工房の玉川堂(ぎょくせんどう)、東京都東村山市に拠点を置く板金ブランドの和國商店と、そして隈研吾建築都市設計事務所とのコラボレーションにより、宇宙空間に数か月間曝露された銅板を用いた世界でただ1点だけの伝統作品が製作されたことを発表した。
今回のプロジェクトは、Space BDと玉川堂との間で、200年以上の歴史を有する同工房の伝統工芸を宇宙空間に曝露したのち、地球に帰還した銅板の物性変化を検証するという実験的な取り組みを企画したところから始まる。その後プロジェクトを推進する中で、東村山で板金技術を研鑽してきた和國商店がコラボレータとして共鳴。さらに同商店がオープンした「和國商店カフェ」の建築を手がけた隈研吾建築都市設計事務所が、アート自体の設計担当としてコラボレーションに参画したという。
作品の製作にあたっては、玉川堂が打った4枚の銅板が、Space BDが主導で推進する国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の簡易材料曝露実験ブラケット(ExBAS)を活用した「スぺースデリバリープロジェクト -RETURN to EARTH-」により、2023年3月15日に宇宙へと打ち上げられた。銅板は宇宙空間へと数か月間曝露された後、宇宙から無事に帰還したとする。
なお作品の土台となる部分は、和國商店の職人が、取り壊された神社の外壁部材(緑青銅板)をリサイクルして製作したとのこと。こうして出来上がった銅板と土台が、隈研吾建築都市設計事務所のデザインにより、“宇宙の神秘性”を感じさせる作品へと昇華されたとしている。
なお、今回製作された作品は、2024年末ごろに一般販売を予定しているとのこと。その価格は未定となっている。