米Salesforce(セールスフォース)は2月27日、カスタマイズ可能で対話型の新しいCRM(顧客関係管理)向けの生成AIアシスタントであるEinstein Copilotの正式ベータ版を提供開始することを発表した。
なお、同サービスは、Einstein 1 Editionsを購入するか、Enterprise EditionsまたはUnlimited Editionsに追加することで利用可能。
また同サービスは、Sales CloudとService Cloud向けにグローバルでベータ版が提供されており、Commerce CloudとMarketing Cloudは2024年後半に提供される予定。なお、日本での一般提供の時期は未定としている。
Einstein Copilotの概要
Einstein Copilotにより、Salesforceの顧客は自社で保有する信頼できるデータを活用して回答を生成することが可能となるという。これにより、同サービスは、質問への回答、コンテンツの要約、新しいコンテンツの作成、複雑な会話の解釈、ユーザーに代わりタスクを動的に自動化することが可能となる。
これは、対話型UI、基盤となるLLM(大規模言語モデル)、信頼できる企業データを組み合わせることで実現され、Salesforceユーザーは生成AIの力を活用し、新しい方法でアプリケーションと対話することができるようになるという。
Einstein Copilotの機能
同社はEinstein Copilotの機能の特徴として以下の5点を挙げている。
Data Cloudでプロンプトをグラウンディング
Einstein Copilotは、Data Cloudから信頼できるビジネスデータを使用して回答をグラウンディング(外部データを参照しながら、事実にもとづいて回答すること)して、アウトプットに必要な文脈を提供する。これにより、Einstein Copilotは信頼できる企業データに基づき、より正確でカスタマイズされた回答を生成できる。
即座に使えるアクション
Einstein Copilotには、あらかじめプログラムされた機能、自動応答、またはEinstein Copilotが実行するビジネスタスクなど、すぐに使えるアクションのライブラリが用意されており、プロンプトが表示された際にAIがユーザーに代わって実行する。アクションを組み合わせることで、動的なマルチステップの計画を実行可能。
特定のビジネスニーズに合わせてEinstein Copilotをカスタマイズ
Einstein Copilotは、特定のセールス、サービス、マーケティング、コマース、ITのタスクを達成するようにカスタマイズでき、企業や業界のポリシーを適用可能。Copilot BuilderはEinstein Copilotのカスタムアクションを作成でき、プロンプトビルダーは業務フローの中でカスタムプロンプトをアクティベートし、モデルビルダーは独自のAIモデルを使用してEinstein Copilotのカスタム機能を強化する。
意図を解釈し、最適なアクションを選択する推論エンジン
Einstein Copilotの推論エンジン(情報に基づいた意思決定、問題解決、またはインサイト生成のために情報を解釈および処理するプロセス)は、ユーザーのプロンプトの完全な文脈を分析し、実行するアクションまたは一連のアクションを決定し、出力を生成することで、LLMと相互にやり取りする。
信頼できる回答とアクションの生成
Einstein Copilotは、Einstein Trust Layerが提供するプライバシーおよびセキュリティ対策により、信頼できるAIのやりとりを提供する。Einstein Trust Layerは、Einstein 1 Platformの一部であり、個人情報(PII)のマスキング、有害性に対するアウトプットのスコアリング、SalesforceのLLMパートナーとのゼロデータリテンションを通じて、不正アクセスやデータ侵害からの情報保護などの機能を実行する。