キンドリルジャパンは2月9日、2024年に予測される7つのテックトレンドについてオンラインで記者説明会を開催した。説明会には、キンドリルジャパン 専務執行役員 チーフ・ストラテジー・オフィサー ストラテジック・サービス本部長の工藤晶氏と、同 技術戦略部長の大津浩司氏が出席した。

冒頭、工藤氏は「2023年の世界における日本のデジタルランキングは過去最低となる32位に後退した。特に企業の意思決定、ビッグデータ&アナリティクスの活用、デジタルスキル、国際的な経験に関しては最下位に等しい」と述べた。

  • キンドリルジャパン 専務執行役員 チーフ・ストラテジー・オフィサー ストラテジック・サービス本部長の工藤晶氏

    キンドリルジャパン 専務執行役員 チーフ・ストラテジー・オフィサー ストラテジック・サービス本部長の工藤晶氏

こうした状況に対して、同社では「インクルーシブ、アジャイルなカルチャーへの変革」「デジタルへのリスキルと最新テクノロジーとデータの利活用」「グローバルケイパビリティの活用」により、日本のデジタル化に貢献するという。

  • 日本のデジタルランキングは32位に後退した

    日本のデジタルランキングは32位に後退した

キンドリルが予測するテックトレンド

今回、発表されたテックトレンドは以下の7つだ。

(1)新しい働き方が企業文化やテクノロジー、ワークプレースの変革を促進

(2)AI導入の重要な要素としてデータガバナンスが浮上

(3)よりスマートなクラウド戦略によって、企業はコスト上昇に対応

(4)メインフレームはハイブリット環境の一部として、関連性を維持

(5)AI活用によるデバイスの急増に伴い重要性を増すデータ保護とレイテンシ短縮

(6)さらに増加し、巧妙になっているサイバー攻撃

(7)サステナブルなテクノロジーが最優先

(1)は、企業が部分的なハイブリッドワークに備えて以降、デジタルアジリティに対する需要は加速する一方であり、リモートでも対面、そのいずれかの場合でも、有能な働き手は協力的な企業文化を職場を求めているとのこと。

2024年は効率性や生産性、セキュリティ、能力を向上させるために職場におけるテクノロジーへの投資を継続することに加え、グローバルの企業が“体験”を重点に置くようになると予測している。

社員に対して、ビジネスプロセスや摩擦や障壁、全体的な仕事の満足度に関する調査を行い、指針となるフィードバックを得るとともに、企業文化を見直し、インクルーシブな環境と生産性を促進するような目的と価値観を設定すべきだというい。また、会社のビジネスを理解し、AI対応ソリューションで協力してくれるパートナー企業と協働することも必要とのことだ。

(2)については企業と生成AIの基盤はデータであることから、データ管理の社内スキルを持たない企業にはビジネスプロセス、適したアプリケーション、データガバナンスについて信頼できるパートナー企業が必要だという。

そのため、適切な質問によって、御社が望むビジネス成果を定義することに加え、包括的なデータ戦略やガバナンスとともに、データプラットフォームを構築し、AIで未来に投資することがポイントになる。

  • AIの導入に際し重要な要素としてデータガバナンスが浮上している

    AIの導入に際し重要な要素としてデータガバナンスが浮上している

(3)はシステムの可視性、サイバーセキュリティ、接続されたIT環境全体にわたりAIを展開する能力という点でクラウドにはメリットがあるにも関わらず、パブリッククラウドの導入ペースは鈍化している。また、スキルのギャップも存在し、ハイブリッドクラウド環境は、多くの基幹インフラ業界で重要なメインフレームを管理することを可能とするため、クラウドのメリットと費用対効果を得るべく、クラウド環境を設計・管理することが最善策とのこと。

こうしたことから、パブリッククラウドとハイブリッドクラウドの環境でコストを抑制し、スキルギャップを管理しつつ、必要なビジネス成果をもたらす将来像を計画し、急速に変化するIT環境に対して後手に回らずに、先手を打てるような長期的なクラウド戦略を策定するための支援を受け、導入前であっても生成AIのトレンドと実体験について把握しておくことを推奨している。

(4)では企業がワークロードやデータの全体をクラウドに移行するのではなく、まずはハイブリッドでアプローチが必要とな、メインフレームから一部のアプリケーションを移行した組織の割合は95%、ワークロードの平均37%を占めている。

そこで、Modernixe on(メインフレーム上でのモダナイズ)、Integrated with(他プラットフォームとの統合)、Move off(メインフレームからの以降)の3つのアプローチを組み合わせることで、メインフレームの信頼性とパフォーマンスのメリットを継続しながら、モダナイゼーション、イノベーション、コストの最適化のバランスが図れるとしている。

また、メインフレームのモダナイゼーションにより、年間9~11%の収益性向上というビジネスバリューが実現可能なことに加え、ほぼすべてのビジネス環境で価値を提供できるように、メインフレームそのものを見直し、プラットフォームの将来性を高めるのに必要な専門家のスキルを確保する必要があるという。

(5)に関しては現在、ネットワークに組み込まれたセキュリティ、モデルを支援する分析など、ソフトウェアに関する新技術が成熟し、絶頂期に向けて準備が整った段階を迎えている。そのため、AIはオペレーションを変革し、経営全般の意思決定やコスト構造の最適化の方法を変えることから、企業は新しいテクノロジーを導入する準備としてネットワークに変更を加える時期が到来していると推測。

  • AIの導入に伴いデータ保護とレイテンシ低減の重要性が増すという

    AIの導入に伴いデータ保護とレイテンシ低減の重要性が増すという

そのため、データセンターやネットワーク機器を含む現在のネットワークを評価し、障害に対する弱点やベンダーサポートの対象期間を確認するほか、データを保護しつつリアルタイムの意思決定を可能にする、最新のネットワークを運用するためのコスト削減の見込みを判断して、業界やビジネスの専門家と提携して、最新のクラウドネットワーキングテクノロジーを導入することを勧めている。

(6)はセキュリティとレジリエンスを最適化するためにシステムを最新化するには、つぎはぎや上書きレベルでは間に合わないと指摘している。

悪意あるAIを使う可能性もある攻撃者は、継続的に弱点を悪用するため、高度なセキュリティとレジリエンシーを備えたITシステムを実現するには、強力で最新の基盤が必要であることを理解すべきだという。さらに、多様な視点を持つ人材がサイバー攻撃に対する最良の武器となるため、サイバーセキュリティのトレーニングや雇用へのアクセスを拡大することも必要との認識だ。

(7)については、企業は気候変動に適応する必要があり、その一方で急速な技術変化のペースにも対応しなければならず、テクノロジーを最大限に活用するために、ITやサステナビリティのリーダーは、現在のビジネス慣行の中に環境ソリューションを統合できる、スケーラブルなプロジェクトを開発する必要があるとともに、気候変動は世界的な問題であり、変化をもたらすには広範囲にわたるパートナーシップと協力が必要ともいう。

このためビジネスにおけるCO2排出量の削減に取り組み、同じ取り組みを行う他の企業やサプライヤーと連携し、環境のサステナビリティの目標をビジネスや従業員の目標にも結び付け、必要であれば小さい取り組みからすたーとすることで行動を増やしていくことを奨励している。

トレンドから得られた示唆とは?

こうしたテックトレンドをふまえ、大津氏は3つの示唆として「ミッションクリティカルなシステムの簡素化」「データでAIの成功を促進」「回復力のある強力なIT資産を最適化」を挙げている。

  • キンドリルジャパン 技術戦略部長の大津浩司氏

    キンドリルジャパン 技術戦略部長の大津浩司氏

大津氏は「デジタル変革とビジネスの進化は同義であり、AIの導入やワークロード処理のバランス、IT資産のモダナイズ、スキル不足の対策といったトレンドに注目しつつ、戦略を再調整する必要がある」と話す。

  • キンドリルジャパン 技術戦略部長の大津浩司氏

    キンドリルジャパン 技術戦略部長の大津浩司氏

システムの簡素化に関しては、厳しいマクロ経済環境とテクノロジーの複雑さに対応するための戦略的な取り組みとして企業は環境の簡素化と最新化、セキュリティ強化、クラウドコストの効果的な管理、そしてデジタルワークプレーステクノロジーへの投資を通じて、ビジネスの効率性と生産性を向上させることが必要との見解だ。

データでAIの成功を促進することについては、データの正確性、アクセス性、セキュリティ、倫理的な利用が戦略的に重要であると認識していることを反映しており、最高責任者という新しい役割の重要性を強調し、企業はAIの活用を加速し、データの管理と活用に重点を置くことで、ビジネス価値を高めることを目指すべきだという。

IT資産の最適化では、企業はデジタル変革とセキュリティの強化を追求し、最新のネットワーク技術を活用してビジネスの効率性と回復力を向上させるために、の採用や、セキュリティと運用チームの協力を通じた問題解決が含まれ、企業が進化するビジネスニーズに対応し、潜在能力を最大限に活用することを提言している。