ヴィーム・ソフトウェアは2月8日、2024年の事業戦略発表会を開催した。発表会では事業戦略のほか、旗艦製品の最新版である「Veeam Backup & Replication v12.1」の特徴、パートナーであるレッドハットとのエコシステムの紹介が行われた。

2024年はBaaSとKubernetesソリューション拡大に注力

執行役員社長の古舘正清氏は、「最近、バックアップのトレンドが変わってきている」と語り、トレンドとして「ランサムウェア対策におけるバックアップの見直し」「クラウドシフトに伴うバックアップの見直し」「SaaSのバックアップの拡大」「VMware買収によるアプリケーションモダナイゼーションの加速」を挙げた。

  • 執行役員社長 古舘正清氏

昨今、ランサムウェア感染するのが当たり前となっており、経済産業省が発行したガイドラインでも言及しているように、企業は感染した時に、どう戻すか 迅速にリストアできる体制の整備が求められている。

また、企業がマルチクラウド環境にシフトする中、バックアップの仕組みを見直す動きが出てきているほか、セキュリティの観点では、ランサムウェア対策ができていないという課題が出てきているという。古舘氏によると、バックアップの仕組みもサービスで構築したいというニーズが生まれており、BaaS(Backup as a Service )が注目を集めているとのことだ。

BroadcomによるVMwareの買収の影響について、「クラウドへのシフトが加速する、別なハイパーバイザーに移行する、アプリケーションのモダナイゼーションが進むといった変化が起こることが考えられる」と古舘氏は述べた。

そのうえで、「われわれはいいポジションにいる。当社はインスタンスだけの契約が可能であり、ライセンス体系を選んでもらえる。どのシナリオにいっても、当社のライセンスならカバーでき、インフラの不透明な状況において、追い風が吹いている状況」と、古舘氏は同社が好ポジションに着けていることをアピールした。

こうした状況を踏まえ、2024年は「BaaSビジネスの拡大」「Kubernetesソリューションの拡大」「OEMサポートビジネス拡大」「チャネルパートナービジネス拡大」に取り組む。

Kubernetesソリューションの拡大においては、レッドハットの「Red Hat OpenShift」に注力するという。

  • ヴィーム・ソフトウェア 2024年事業戦略

「Cirrus by Veeam」と「Kasten K10」を提供

2024年に注力するBaaSとKubernetesソリューションについては、ソリューションアーキテクト 高橋正裕氏が説明を行った。

  • ヴィーム・ソフトウェア ソリューションアーキテクト 高橋正裕氏

同社は、BaaSとして、オーストラリアのCT4から買収した「Cirrus by Veeam」を提供している。昨年10月には、Microsoft 365およびMicrosoft Azureを対象としたBaaSである「Cirrus for Microsoft 365」と「Cirrus Cloud Protect for Microsoft Azure」の提供を発表した。

高橋氏は「Cirrus for Microsoft 365」の特徴として、日本市場に対応していることを挙げた。ユーザーインタフェースが日本語に対応しているほか、バックアップの格納先に日本リージョンのストレージを選択できる。

一方、Kubernetes向けのデータ保護ソリューションとしては、「Kasten by Veeam」を提供している。昨年11月に最新版「Kasten K10 V6.5」がリリースされた。「Kasten K10」では、Red Hat OpenShift Virtualizationなどを用いて、VMワークロードをコンテナワークロードと一緒に管理できる。

高橋氏は、「Kasten K10」の特徴として、ユーザーインタフェースからDay2オペレーションが行えることを挙げた。RedHat OpenShiftなら、OperatorHubから導入できるという。

ヴィーム×レッドハットの協業の意義

ヴィームのKubernetesソリューションへの注力を受けて、説明会には、 レッドハット 常務執行役員 パートナーエコシステム事業本部長 三木雄平氏も登壇した。

  • レッドハット 常務執行役員 パートナーエコシステム事業本部長 三木雄平氏

三木氏は、「今、国内でDay2オペレーションを検討している企業が増えている。ここを支援できるのが、Red Hat OpenShift with Veeam Kastenであり、Day2オペレーションを改善する」と語り、両社の協業の意義をアピールした。

三木氏は、「Red Hat OpenShift with Veeam Kasten」の強みとして、ユーザーフレンドリーである点を挙げた。というのも、Red Hat OpenShiftはGoogleのKubernetesよりは使いやすいが、ハイスキルではない人が使いこなすのは難しいからだという。

さらに、両社の協業のポイントとして、ハイブリッドクラウドにおける利便性の向上が挙げられた。ハイブリッドクラウド環境では、オンプレミスとクラウド間でデータの移行が発生するが、「Kasten」により その操作を直感的に行えるとのことだ。