リコーとリコージャパンは2月1日、馬込第三小学校(東京都大田区)および厚木市役所本庁舎(神奈川県厚木市)において、ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始したことを発表した。

  • 実証実験に使用する庭園灯

    今回の実証実験に使用する庭園灯(出所:リコー)

以前から協力を進める2者との間で実証実験を開始

ペロブスカイト太陽電池は、有機材料で作られるため軽量である上、照度の低いエリアや垂直設置でも発電が可能という特徴から、既存のシリコン系太陽電池に代わる発電技術として注目を集めている。だが一方で、屋外設置における耐久性には課題が残るなど、実用化に向けてはさらなる技術革新が必要とされている。

長年にわたり複合機の開発を行ってきたリコーは、その過程で培った有機感光体の技術を応用し、低照度の室内光でも発電する個体型色素増感太陽電池を販売している。また2023年からは、セブンイレブンの店舗において次世代太陽電池の実証実験も行っている最中だ。

加えて同社およびリコージャパンは、大田区との間で、それぞれの持つ資源を活用して連携・協力しSDGsの普及啓発および達成に向けた取り組みを推進することで、持続可能なまちを実現することを目的とした連携協定を、2023年7月に締結。さらに脱炭素重点対策実施地域である厚木市との間では、厚木市カーボンニュートラル推進ネットワークを設置し、リコーを含む市内事業所や大学、金融機関などと共に2050年のカーボンニュートラル達成を目指した取り組みを進めているとする。

  • 馬込第三小学校での実証開始セレモニーの様子

    馬込第三小学校での実証開始セレモニーの様子。左からリコージャパンの笠井徹社長執行役員、リコーの山下良則代表取締役会長、大田区の鈴木晶雅区長(出所:リコー)

そのため今般はそれらの一環として、ペロブスカイト太陽電池に関する実証実験を開始。因幡電機製作所、竹中製作所、立花電子ソリューションズ、大阪エヌデーエスとも連携し、屋外設置の庭園灯の電力源として同太陽電池を設置してその発電量や電池の耐久性などの特性データを収集するとともに、そこで発電された電気を使い夕方~夜間の街灯として活用するとしている。

  • ペロブスカイト太陽電池を用いた庭園灯のイメージ図

    ペロブスカイト太陽電池を用いた庭園灯のイメージ図(出所:リコー)

  • 実証実験における各社の連携体制

    実証実験における各社の連携体制(出所:リコー)

課外授業や市民への認知拡大も進め早期事業化へ

また馬込第三小学校では、子どもたちの次世代太陽電池・エネルギーの関心を高めるため、課外授業を含めた取り組みを進めていくとのこと。一方で厚木市役所では、庁舎前における実証を通して市民に先進的な取り組みを紹介するとともに、道路や公園での活用に向けたデータ計測などの実証を行うという。

  • ペロブスカイト太陽電池について学ぶ子どもたち

    ペロブスカイト太陽電池について学ぶ馬込第三小学校の子どもたち(出所:リコー)

なお、リコーは今回の実証実験を通じ、ペロブスカイト太陽電池の早期事業化を目指すとする。また今後も事業を通じて社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。