「21世紀の石油」とも言われることもあるデータ。

データを収集・蓄積し、分析した結果を製品・サービス開発や業務効率化等に活用することは、ビジネスにおいても新たな価値創出に期待されている。 その一方で、多くの日本企業ではデータを経営に生かせていない現状が明らかになっており、データを活用して迅速な意思決定を実現するデータドリブン経営の実現が喫緊の課題となっている。

そこでTECH+では、各業界における最新動向とデータの利活用にフォーカスし、その重要性やビジネスに与える影響を様々な取り組み事例を通じて参加者に伝えるイベント「TECH+ EXPO 2023 Autumn for データ活用」を開催。

今回で14回目となる本EXPOでは、多くの企業が抱えるデータの利活用にまつわる課題について、また企業にとって最大の関心事である「DX」の実現に向け、「データ活用」「スピード、アジリティ」「全社最適」を実装し、経営やビジネスプロセスを再構築するため、有識者の潮流を踏まえた見識や、先進的な取り組みをしている企業事例を紹介しながら、その解決の糸口を提供した。

以下では、基調講演および編集部セッションのレポートへのリンクをまとめている。先進事例を通じて、データ活用を考察するヒントにしていただきたい。

DAY1:基調講演

A-1:データで見る製造業、データで勝つ製造業ー30年ぶりに潮目が変わるかー

  登壇者:早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター研究院 教授/東京大学名誉教授/ものづくり改善ネットワーク代表理事/FTものづくり研究所代表社員 藤本隆宏氏
ほぼ30年ぶりにやってきた「日本の製造業の転換点」を、産業データで確認する。ポスト冷戦期(ほぼ1990~2010年代)の我が国製造業に関しては、客観的データや論理に反する「日本製造業衰退論」や「空洞化論」が多く見られたが、それらの多くがデータ的な根拠の薄い錯覚・誤解・誤謬であったことをまず示す。また、現局面でにおいて競争優位に貢献しうる「勝てるDX」、つまり(単なる流行追随ではなく)競争論理的に勝算のある形での産業現場のデータ活用に関して、直近の成功事例を交えて論じる。

レポート掲載はありません

編集部セッション

A-4:第4次産業革命と製造業の変革ーデジタル技術と新しいビジネスモデルの展望

  登壇者:株式会社東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリスト/アルファコンパス 代表 福本勲氏
今、世界的にカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといったサステナブルな取り組み、新型コロナや地政学的リスクへの対応と言った、レジリエンスな対応などが注目を集めています。また、EUを中心に、データ共有圏の取り組みも加速しています。本講演では、インダストリー4.0におけるデータ連携基盤の動きとその重要性、AIやデータ活用ソリューションなど昨今の最新テクノロジー活用の動きについてお話しするとともに、事例を交えながら日本企業がどのように対応すべきかについてお伝えします。

A-8:ヤマハの楽器工場スマートファクトリー化とデータ活用戦略

  登壇者:ヤマハ株式会社 楽器・音響生産本部 生産企画統括部企画推進部 スマートファクトリー推進グループ 宮田智史氏
ヤマハの国内及び海外の楽器製造工場で進めているスマートファクトリー化とデータ活用方法についてご紹介します。高い感性と匠の技で一つひとつ丁寧に作られている楽器のものづくり現場で、どのようなデータ活用を進めているのか事例も含めてご紹介します。

DAY2:基調講演

B-1:日本経済と企業の成長戦略

  登壇者:東京大学 名誉教授 伊藤元重氏
日本経済は大きな転機にある。このセミナーではそうした流れを分析するとともに、GXやDXのキーワードを軸に、企業にとっての成長戦略について考察する。キーワードは創造的破壊である。またこうした流れが、米中対立などの地政学的問題などにも深く関わっていることにも言及する。

編集部セッション

B-4:DX推進で実現する新たな価値の創造

  登壇者:アフラック生命保険株式会社 執行役員 松尾栄一氏
当社はデジタル技術の活用により、コアビジネスである生命保険事業の領域と、生命保険事業以外の新たな領域において、新たな価値の創造のため日々取り組んでいます。本講演では、社内外に展開しているデジタルサービスや自治体との取り組み、DXを推進するための体制構築や人財育成についてご説明するとともに、課題に直面した際にどのように解決してきたかについてご紹介します。

B-8:Web3時代における金融行政の取組みについて

  登壇者:金融庁 企画市場局総務課信用制度参事官室 デジタル・分散型金融企画室長 久永拓馬氏
新たな金融サービスの育成・普及に向けた金融庁の取組みやデジタル・分散型金融への対応、日本におけるデジタル資産を巡る規制枠組みの整備(暗号資産・ステーブルコイン(電子決済手段等)に関する制度整備(資金決済法等の改正))等について紹介するもの。

レポート掲載はありません

DAY3:基調講演

C-1:ストーリーとしての競争戦略

  登壇者:一橋ビジネススクール PDS寄付講座競争戦略特任教授 楠木建氏
戦略は「こうしよう」という主体的な意図の表明であり、「こうなるだろう」という将来予測ではない。さまざまな打ち手がつながって、全体として長期利益に向かって動いていくという時間展開が動画のように見えてくる。優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリーでなくてはならない。ストーリーという視点から競争戦略と競争優位についての論理を解明する。

DAY4:基調講演

D-1:データ時代のDX構想力とチェンジマネジメント

  登壇者:DX JAPAN 代表 植野大輔氏
DX戦略においてデータ活用の重要性を理解しながら、データを日々の業務に活かしたり、まして経営インパクトある取り組みが出来ている会社は、けっして多くありません。苦戦する真因は、データの問題ではなく、構想力とヒト組織の変革の2つに尽きます。ファミマの経験も踏まえ、DX構想力と組織チェンジマネジメントの真髄をお伝えします。

編集部セッション

D-4:良品計画におけるデータ活用のご紹介

  登壇者:株式会社良品計画 ITサービス部データサービス課 課長/データアーキテクト 王毅超氏
2021年9月から『第二創業期』がスタートしている良品計画。IT・ECで自他ある部門における中長期計画としてはデジタル化による効率化やECサイトの売り上げが組み込まれています。デジタルとデータの活用を推進している当社の取り組みをお話いたします。

D-8:#Z世代が経済の中心になる前に知っておいた方がいいこと教えます

  登壇者:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣氏
これからの消費の中心となっていく「Z世代」。デジタルネイティブなZ世代に対して有効なマーケティング施策とはいったいどのようなものなのでしょうか。本公演は渋谷のランドマークであり、若者が集中する「SHIBUYA109」をメインフィールドにマーケティングを行っているSHIBUYA109 lab. 所長の長田麻衣氏が登場。Z世代の特徴や、自主的にトレンドを作っていくにはどうするべきなのか、SHIBUYA109で実際に取り組んでいる施策などをお話しいただきます。

レポート掲載はありません

DAY5:基調講演

E-1:未来顧客獲得のために企業がすべきこと~Z世代の重要性~

  登壇者:マーケティングアナリスト/芝浦工業大学デザイン工学部 教授 原田曜平氏
「若者の〇〇離れ」が語られるようになり、実際に若者の消費活動の消極化が顕著になりました。年齢を重ねたからといって若いときに身につけた生活習慣や消費習慣が大きく変わることは考えにくく、10年後の消費の中心であるZ世代が重要なマーケティング対象となっています。 本講演では、若者研究の第一人者である原田曜平氏にZ世代の特徴や企業が若者との接点を持つ重要性について解説していただきます。

編集部セッション

E-8:ECビジネスの舞台裏:成功の秘訣を探る

  登壇者:株式会社プレステージ・インターナショナル IR・CSR室兼地方創生事業開発室 室長 吉澤勉氏
現在、EC事業は手軽に参入できるようになりました。特にコロナ禍からリオープニング社会になった今、ECを使った買い物は日常化し、雨後の筍のように、ECサイトが急増しています。そのため、無数にあるECサイトを顧客に見つけてもらえる努力が必要です。本講では、商品の魅力だけでなく、明確なターゲット層の特定、適切なコンテンツ戦略、SNSとトレンドの洞察を通じて、競争の激しいEC市場での成功のカギを実体験を元にお話します。

レポート掲載はありません

DAY6:基調講演

F-1:データをビジネスに活かすには分析力だけでなくモラルも重要

  登壇者:滋賀大学 データサイエンス学部教授 兼 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 副センター長/元 大阪ガス(株)ビジネスアナリシスセンター所長 河本薫氏
データやAIは、意思決定プロセスを改善する手段である。私は、その観点に立ち、それらをビジネスに活かすには、手段を使えるだけでなく意思決定プロセスに組み込む力も必要と主張してきた。でも、それでも足らないものがある。分析者の「モラル」である。本講演では、分析者のモラルハザードがビジネスにもたらす災いを述べる。

レポート掲載はありません

編集部セッション

F-4:データ分析を成果に繋げる「ビジネストランスレーター」の思考術

  登壇者:三井住友海上火災保険株式会社 CXデザイン部 CMO 兼 CXデザイン 部長 木田浩理氏
データサイエンティストを採用し、データ分析組織を作ったがなかなか成果がでない、という声をよく耳にします。そのようなデータ分析の壁を乗り越え、ビジネス成果に繋げるためのビジネストランスレーターという役割や思考法について、自身も文系出身のデータサイエンティストであり、CMOでもある講師が詳しく説明します。

F-8:データを問題解決につなげるビジネス基礎スキルとは

  登壇者:Zoku Zoku Consulting 代表/元電通マクロミルインサイト代表取締役社長 中野崇氏
データをビジネスの問題解決につなげるためには、データ分析や統計の専門知識を高める前に、ビジネス基礎スキルの向上が必要です。ビジネスの問題・課題を整理し、データをどう活用すべきか?を考える企画力、その前提となる課題設定力・仮説構築力のポイントや、組織をデータドリブンにする施策や工夫を解説します。

DAY7:基調講演

G-1:データ活用により具体化する「デジタル×経営=DX推進」

  登壇者:経済産業省 商務情報政策局・情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室長 和泉憲明氏
DXレポートの生みの親ともいわれる和泉氏が、DXによって多様化・高度化している企業のデータ利活用において、「データの民主化」「データ主権」が重要視される意味を実例を交えながら解説し、「デジタル×経営」が生み出す本質的なDXの方向性を示します。

編集部セッション

G-4:経営戦略と連携したデータドリブンな事業活動への道

  登壇者:喜多羅株式会社 Chief Evangelist 喜多羅滋夫氏
昨今の急速なイノベーションによって、企業を取り巻く様々なデータを活用する事例が登場してきました。しかし、多くの企業はデータの収集に終始して、その活用までは至っていないのが現状です。事業成果を上げるためのデータの戦略的活用への一つのアプローチを、お話しさせていただきます。

レポート掲載はありません

G-8:デジタル変革で目指すべき真のデータ利活用と小林製薬の挑戦

  登壇者:小林製薬株式会社 執行役員 CDOユニット長 石戸亮氏
DXと聞くと、手法としてのデジタルを様々に想像しがちですが、外から見えている戦略や施策だけではなく、内部的なことも同じくらい、あるいはそれ以上に重要です。本セッションでは、小林製薬において8月に発表したDX方針を事例に、一般論としての思考法などについて、皆様と理解を深めたいと思います。

DAY8:基調講演

H-1:話題のAIでビジネスはどう変わる!? ChatGPTが描く未来図

  登壇者:日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇資哲氏
デジタル化で業務改善が進む中、生成AIがツール化し、さらにはインフラ化していくであろう今後のビジネスシーンにおいて、どんな未来が見えてきているのか。本講演では生成AIの実際の活用事例や今後のビジネスでの可能性について解説します。

レポート掲載はありません

編集部セッション

H-3:ChatGPT時代の文系AI人材になるには?

  登壇者:株式会社 ELYZA 取締役 CMO/三井住友カード株式会社 Head of AI Innovation 野口竜司氏
ChatGPTの登場により、ビジネスにおけるAI活用が一段と様変わりすることが確定的になってきました。本講演では、ChatGPT時代のAIの実力や、具体的なAIと協働する新しい働き方を紹介するなかで、我々が重きを置くべきマインドについて解説します。

DAY9:基調講演

I-1:生成AI時代のデータのあり方、活かし方

  登壇者:IT批評家 尾原和啓氏
LLM(LargeLanguageModel)によって非構造化データ(UnstructuredData)から知性を取り出すことが容易になりつつあります。あらゆるものがデータとして分析、活用ができるいま、データ基盤および経営をどう考えるべきか。最新事例のデモ実演などを交えながら解説します。

レポート掲載はありません

編集部セッション

I-4:セブン‐イレブン・ジャパンのDXを実現するクラウド基盤とAI・データ利活用について

  登壇者:株式会社セブン‐イレブン・ジャパン 執行役員 システム本部長 西村出氏
セブン‐イレブンは当初よりIT投資を積極的に行い、データ利活用でも差別化を図ってきましたが、2000年代以降システムが巨大化・レガシーとなりベンダーロックインも起きていました。現在、その2025年の崖を超えるべく、クラウドをフル活用したリアルタイムデータ基盤やマスタ再構築をするなど、様々なお取引先様と連携したDXの各取組についてご紹介させていただきます。

レポート掲載はありません

I-8:ヒントは社内用語にあり?@cosmeのデータ基盤の道のり

  登壇者:株式会社アイスタイル プロダクト・データユニット データ戦略本部 データ戦略推進室 室長 山本泰毅氏
株式会社アイスタイルでは、MAU1800万を超える『@cosme』を中心に、EC・店舗事業などを展開し、それらを一元管理した商品や会員情報を利用して、様々なソリューションを化粧品業界向けに提供しています。本セッションでは、自社に最適化したデータ基盤を構築/普及するためのTIPSをご紹介致します。

レポート掲載はありません

DAY10:基調講演

J-1:データを守るとはどういうことか?~投資領域としてのバックアップ戦略~

  登壇者:株式会社圓窓 代表取締役 澤円氏
今や、データなくしてビジネスを行うことは不可能な世の中になりました。そして、サイバー犯罪者たちもあらゆるデータをビジネスに生かそうと思って待ち構えています。どのような「エコシステム」があるかを理解することで、バックアップやデータ保全が投資領域であることの理解を深める時間にしましょう。

編集部セッション

J-4:私は如何に枕を高くして寝る努力をしているのか?

  登壇者:株式会社MTI 代表取締役社長 鈴木英樹氏
昼夜を問わずに見えざるサイバーアタックの脅威に晒されている現在。絶対的な防御手段の無い中で、如何に安心して床に就くか。データ保護にまつわる共通の悩みをシェアし、今後の備えを一緒に考えて行きましょう。

レポート掲載はありません

J-8:データ保護に「すべき」を求めるのは間違っているだろうか

  登壇者:株式会社リクルート スタッフ統括本部 経営管理 セキュリティ統括室 セキュリティオペレーションセンター 部長 六宮智悟氏
攻撃者が欲しい情報が、あなたが守りたい情報と同じとは限らない。とすると、何を守るべきなのか?全方位で情報を守るべきなのか?そんな様々な「すべき」に今日も現場は苦悩する。対策は組織特性で千差万別、あなたの最適解を私は知りません。でも、ユーザ企業の現場のひとつから、こんな考え方もありますよ、を届けます。

レポート掲載はありません