ペガサス・テック・ベンチャーズはヒルトン・サンフランシスコ・ユニオンスクエアで、「スタートアップワールドカップ2023」の世界決勝戦を12月1日(現地時間)に開催した。同大会は52の国と地域で予選が行われ、3万社を超えるスタートアップがエントリー。11月29日に行われた準決勝では、各地の予選を勝ち抜いたスタートアップの中から、ファイナリスト10社が選ばれた。

大会で優勝したのは、AI医療機器の開発を手掛ける日本のスタートアップ、アイリスだ。同社は9月に実施された東京予選で、代表に選ばれていた。世界大会の優勝投資賞金は100万米ドル(およそ1億5000万円)。

アイリスは世界で初めてインフルエンザ判定が可能な感染症診断AI搭載内視鏡の商品化に成功するなど、その優れた技術とビジネススキームが評価されたようだ。約3000人の観衆の前で優勝の座を獲得した。

  • アイリスが世界大会で優勝した

    アイリスが世界大会で優勝した

代表取締役社長の沖山翔氏は優勝後のインタビューで「当社が持つ診察のデータベースは世界でも最大級で、現在対象としているインフルエンザだけでなく、今後は咽頭がんや生活習慣病の診断までカバーできる範囲が広がるポテンシャルを持っているはず。AIによって医師の仕事の幅を広げ、新たに生み出した時間を使って患者に向き合うとか、労働環境を良くするとかに役立ててほしい」と語った。

また、大会に出場したきっかけについては、「医療機器や医薬品はプロモーションに制限が付くため、あまり大々的に製品を宣伝すべきではないことが前提となる。そのような業界だが、当社のようなスタートアップが技術と会社の存在を世界に認知してもらう良い機会だった」と振り返った。

  • アイリス 代表取締役社長 沖山翔氏(東京予選時の写真)

    アイリス 代表取締役社長 沖山翔氏(東京予選時の写真)

世界大会のファイナリストには、京都予選で優勝したHOMMA Groupも参加した。同社はIoTデバイスがあらかじめビルトインされているスマート住宅を独自開発している。

HOMMA Group CEOの本間毅氏は「優勝はできなかったが、世界大会決勝の10社のうち2社に日本の企業が入れたことがすごく嬉しい。日本のスタートアップが世界でも戦えることを示す一助になれれば」と語った。

  • HOMMA Group CEO 本間毅氏(京都予選時の写真)

    HOMMA Group CEO 本間毅氏(京都予選時の写真)