SAPジャパンは11月28日、生成AI(人工知能)アプリケーション開発機能「SAP Build Code」、ベクトルデータベース機能、SAP BTP向けのAI Foundation「AI Foundation on SAP BTP」の3つの新機能を発表した。

SAP Build CodeはAIを活用した開発者向けの生産性向上ツール。2022年に発表した「SAP BTPのローコードソリューションSAP Build」の進化版だという。開発者は、SAPの生成AIアシスタントであるJoule(ジュール)を使用してコードを生成し、データモデルを作成し、アプリケーション用のデータをテストすることで、SAPソリューション向けの新しいアプリケーションや拡張機能を開発することができるという。

また、「SAP BTP」のデータベース管理基盤である「SAP HANA Cloud」は、追加コストなしでマルチモデルオファリングに新しいベクトルデータベース機能を追加。ベクトルデータストアによって、テキスト、画像、音声などの非構造化データを管理し、AIモデルに長期記憶とより適切なコンテキストを提供する。

これにより、素早く類似のオブジェクトを見つけて取得できるとしている。例えば、各サプライヤーが契約の中で使用する用語に基づいてサプライヤーを検索し、支払い履歴を調査したり、個別の注文を追跡したりすることができる。ベクトルデータベース機能を新たに追加することで、大規模言語モデル(LLM)と組織のミッションクリティカルなデータの連携を強化する。

さらに、SAP BTP向けのAI Foundationは、開発者がSAP BTP上でAIや生成AIを活用した 拡張機能やアプリケーションを作成するための新しいワンストップショップであり、開発者の影響力と効率性をさらに高めるのに役立つとしている。

AI Foundationには、すぐに利用可能なAIサービスや新たに追加された「Generative AI Hub」を通して大規模言語モデルへのアクセスから、ベクトルデータベース機能、AIのランタイムおよびライフサイクル管理まで、さまざまな機能がそろっている。

また同社は、高スキル開発者の育成に向け、2025年までに200万人のプロフェッショナルをスキルアップするとともに、すでに提供されている無料のAI学習コンテンツを補完するという取り組みの一環として、ABAP Cloud開発モデルを使用するバックエンド開発者を対象に、新しいロールベースの認定と無料の学習リソースを発表した。

SAPの研究者とエンジニアは、スタンフォードの研究者や学生などの学術コミュニティと連携し、生成AIとビジネスの交差する領域に関して研究を進める予定とのことだ。