ルネサス エレクトロニクスは11月14日、同社の株式を保有していたINCJが、保有株式すべて(単元未満株除く)を同日付で売却したことを発表した。

ルネサスは2013年に産業革新機構(当時。現在の産業革新投資機構、INCJはその子会社)をはじめとする9社(産業革新機構、トヨタ自動車、日産自動車、ケーヒン、デンソー、キヤノン、ニコン、パナソニック、安川電機。いずれも当時の社名)に対する最大1500億円の第三者割当増資を実施(実際に投資された資金は約1383億5000万円)。その時点でINCJはルネサスの全株式の69.15%を保有していたが、2017年より段階的に売却を開始。2023年11月13日時点で保有割合は7.38%となっていたが、今回の売却により0%となった。

今回の売却は、ルネサスを成長軌道の戻すという当初の株主としての役割を果たしたとの認識から行われたもの。投資を実行してから10年かけて、確実に利益を出せる体質に変革を遂げたとINCJではルネサスを評しているほか、大型買収の実行とその後の経営統合も順調に推移し、グローバルな半導体業界の一翼を担う存在になったと考えられるともしている。

なお、ルネサスの代表取締役社長兼CEOを務める柴田英利氏は、今回のINCJの全株式売却を踏まえ、「INCJ出資から10年にあたる2023年に、INCJによるルネサスの全株式売却という節目を迎えることができました。ルネサスの成長に向けた礎の構築に大きく貢献したINCJの出資とこれまでのご支援に深く感謝いたします。ルネサスは、今後もさらなる成長を加速し、組み込み半導体ソリューションのリーダーを目指してまいります」と、今後に向けた意気込みを述べている。