三菱重工業は9月26日、「ダイレクトチップ液体冷却技術」の開発・提供を手掛けるスタートアップのZutaCore(ズータコア)に出資し、同社技術のホワイトラベル販売を行う契約を締結したことを発表した。

世界的なDXの進展に伴う情報量の飛躍的な増加により、データセンターの果たす役割とその需要が急速に拡大している。また近年注目を集める生成AIは、高い計算能力を有するGPUが不可欠であることなどから、高性能サーバを活用するデータセンターの電力消費量がさらに増大すると見込まれている。そしてこうした流れに伴って、サーバの排熱効率向上に寄与する液冷却をはじめとする多様な冷却技術に対しても、その需要が拡大することが予想されるという。

2016年に設立されたZutaCoreは、イスラエルに本社と研究開発センターを置くスタートアップ企業。同社は、サーバ内部の半導体チップ(プロセッサ)上のコールドプレートに絶縁性冷媒を二相式で循環させることで、水を使用しないで冷却するダイレクトチップ液体冷却技術を保有し、同技術を用いたダイレクトチップ冷却ソリューション「HyperCool」の開発・提供を行っている。

  • ZutaCoreが提供するダイレクトチップ液体冷却技術

    ZutaCoreが提供するダイレクトチップ液体冷却技術(出所:三菱重工)

三菱重工は、ZutaCoreが持つこの技術を、三菱重工グループが有する統合マネジメントシステムや脱炭素発電設備、サーバ液浸冷却装置と掛け合わせることで、データセンターにおける喫緊の課題である排熱効率の向上や、省エネ・脱炭素化に大きく貢献できるとする。

また具体的には、さまざまな熱分野で経験を積んだ自社技術をベースとして、将来的な市場の伸長が予想される高性能サーバを活用したデータセンターに対し、高信頼性かつ高効率の脱炭素発電設備や統合マネジメントシステム、高効率冷却システムのワンストップソリューションを提供することを目指すとのこと。これにより、データセンターの省エネ・脱炭素化に貢献するとともに、IT分野のGX(グリーン・トランスフォーメーション)を推進していくとしている。