TSMCは現在、台湾各地で2nmプロセスに対応した工場の建設を進めているが、半導体需要の低迷と顧客側の市場の不透明さを受け、少なくとも新竹宝山工場の建設計画が減速しており、工場の立ち上げ時期が2026年にずれ込むのではないか、という話を業界関係者からの情報として台湾の科学技術メディアである科技新報が報じている。一部には、TSMCとして2nmプロセスで初めて採用するGate-All-Around(GAA) FETの開発遅れを指摘する向きもあるが、TSMCは、すでに発表した2nm製品の2025年量産計画に変更はないとしている。
TSMCは新竹宝山工場をFab20として、合計4つの300mmウェハファブ(Phase1~Phase4)を計画。当初の計画では2024年下半期にリスク試験生産、2025年に量産開始を予定している。
また、南部の高雄南子工場は、新竹宝山工場と同時に2nm対応工場の建設を開始したが、当初の発注は宝山工場から1か月ほどの遅れてからなされており、宝山工場の賢哲遅延が高雄南子工場に影響を与えるかどうかは現時点では不明であるという。さらに、台中中科工場については、台中市政府の審査を通過したものの、建設開始は2024年からとなっており、一部の台湾メディアからは、中科工場は、当初の2nmプロセスの生産計画を高雄工場に譲って、1.4nmないしは1nmプロセスのシフトする可能性もあると伝えている。
なお、TSMCに先んじてSamsung Electronicsが3nmプロセスにてGAAアーキテクチャを採用しているが、2nmプロセス時代においてどちらに軍配が上がるかはまだ分からない。しかし、GAAは技術的難易度が高く、Samsungも3nm GAAの立ち上げに際し、歩留まりの低迷に悩まされており、TSMCも2nmで歩留まりに大きな問題を抱える可能性があるとみられている。