中国の複数のハイテク大手(バイドゥ、バイトダンス、テンセント、アリババなど)が相次いでNVIDIAのGPUを大量発注しており、その取引額は少なくとも各社10億ドル、合計で40~50億ドル相当となり、それらは2024年に納品される予定だと、英国の経済メディアFinancial Timesが報じている

主にNVIDIA A100の中国向け代替品となるA800が発注されている模様。現在、米国政府がA100の中国に対する輸出禁止令を出すのに加え、A100よりも性能が落ちるA800も規制する方向で検討を進めていることから、中国企業各社は規制が強化される前にA800の買いだめに向けた動きを見せているという。

中国は、生成AIの開発で米国に大きく遅れをとっており、NVIDIAのAI半導体なしにはAIシステムを開発出来ないようで、バイトダンスは少なくとも1万個のNVIDIA製GPUを備蓄しているうえに、今後さらに7万個(約7億ドル)相当のA800チップを発注済みだという。

NVIDIAはじめ米国主要半導体および製造装置各社は、米国半導体工業会(SIA)とともに、米バイデン政権が半導体チップおよび製造装置の対中輸出規制を拡大することに反対している。

レモンド商務長官の訪中で事態はどうなるか?

なお、米国商務省は、レモンド長官が8月27日から30日までの日程で、北京と上海を訪問すると発表している。レモンド長官は中国に滞在中に同国の高官と会談し、両国間の課題や協力分野などについての建設的な話し合いを期待しているとしている。バイデン政権や米国議会の思惑通りにさら強化される方向にある対中半導体輸出規制や先端技術をめぐる対立に関して、どのような話し合いが行われ、関係改善につながるか、それともさらに悪化するか注目される。