東北大学と三井住友トラスト・ホールディングスは8月8日、2023年4月28日に共同設立した「東北大学共創イニシアティブ(THCI、仙台市青葉区)」の事業内容ならびに事業計画などに関する説明会を都内で開催した。
同説明会にて、THCIの石川健代表取締役社長と岩川聖史取締役副社長が、同社の手がける事業内容などを解説し、事実上の本格的な活動開始を宣言した(図1)。この発表会を契機に、東北大学共創イニシアティブは目指す事業計画を本格化し、「アカデミアとビジネスの双方から人財・技術・資本を効果的に投入し、そのリターンを得る事業創造サイクルを形成させる」と、東北大の大野英男総長は力説する。
石川代表取締役社長は「弊社は東北大が約85%、三井住友信託銀行が約15%を出資した出資金1億円(資本金5000万円)によって設立された」と説明し、「大学の知を社会実装し、新しいモノづくりとサービスで価値を産み出す“事業想像力”によって、事業・サービス化・投資・社会実装の産学金官共創の結節点になる」と語った。
注:三井住友トラスト・ホールディングス傘下に三井住友信託銀行がある
「東北大では、2021年10月に愛知製鋼とブリデストンとそれぞれ設けた2つの共創研究所を手始めに、2023年4月時点で17拠点の共創研究所が学内キャンパス内で活動中」と、東北大の青木孝文理事・副学長・ポロボスト・CDOが説明するように、製造業企業との“ものづくり”事業の共同研究・事業化が東北大では盛んだが、 「THCIはこうした“ものづくり”系産学連携を拡張し、事業化・サービス化・投資・社会実装を進めて、共同サービス事業を興し、世界的な新規事業(新規ビジネス)を興す」と説明する。「社会価値を産み出す共創プロジェクトを大幅に進め、ビジネス思考でイノベーションを先導する共創プラットフォームを築く」と続ける。これによって、日本国内で、新規ビジネスを興し、日本から新しい価値創造を実現するという。
また、三井住友信託銀行の野口謙吾副会長執行役員は「大学技術とのマッチングによって、知の循環と技術の社会実装を図るために、ノウハウを提供し、イノベーションが継続的に起こる環境を創出したい」と語り、例えとして「国内での脱炭素化事業などに投資したいとの意欲」などを示した。