三菱重工業は8月7日、同社グループのエネルギー脱炭素化に関する技術開発を推進する中心拠点として「長崎カーボンニュートラルパーク」を長崎市内にて整備し、その運用を開始したことを発表した。
三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成を掲げる「MISSION NET ZERO」に基づき、既存インフラの脱炭素化・水素エコシステムの実現・CO2エコシステムの実現という3つの取り組みを軸として、グループの成長エンジンであるエナジートランジションを推進している。
そして同社は今般、水素・バイオマス・アンモニアの利用促進に向けた燃料製造や燃焼技術などの開発を促進するため、長崎地区に位置する既存の開発・設計・製造拠点を活用し、断炭素社会実現に寄与するソリューションを提供するため、長崎カーボンニュートラルパークを整備するに至ったとしている。
今回運用が開始された同パークでの取り組みについて、三菱重工は、総合研究所長崎地区の水素製造、バイオマス合成燃料製造、アンモニア燃焼、CO2回収に関する既存の研究施設における燃料製造や燃焼技術、CO2回収技術などを開発するとともに、長崎造船所長崎工場、香焼工場で培った各種熱エネルギー機器の設計・製造などの機能を活用しながら、製品化や事業化に向けた研究開発を加速させるとする。
またこのうち水素製造については、固体酸化物形電界セル(SOEC)による高度な水電解装置の開発に加え、メタンを熱分解することにより水素と固体炭素を得る水素製造(ターコイズ水素)など、次世代水素製造技術の研究開発に取り組んでいくとのこと。長崎にてキー技術を開発した後は、兵庫県の高砂水素パークでの水素製造実証運転、水素ガスタービンとの連携した発電実証も実施する予定だという。
またバイオマス合成燃料製造については、バイオマスを原料としたガス化ET合成などによる持続可能な航空燃料を含む、合成燃料製造設備の商用化に向けた取り組みを進めていくとする。一方のアンモニア燃焼については、同地区の大型燃焼試験路で実機サイズのバーナーを用いた燃焼試験を実施したうえで、2024年度以降には発電所の実機での高混焼実証実験を行う計画とのことだ。
三菱重工は今後も、カーボンニュートラル社会の実現を目指し、長崎カーボンニュートラルパークでの研究開発を通じて脱炭素化関連技術の実用化に取り組んでいくとしている。