2022年11月にOpenAIがサービスの提供を開始した「ChatGPT」は仕事や調査のあり方を大きく変えた。この技術がもたらした影響は大きく、さまざまな業界でこの技術を効率的に利用する方法の模索が行われている。しかしながら、機密情報の漏洩やサイバー攻撃への悪用といった負の面も顕著になってきており、企業は難しい舵取りを迫られている。
この技術の登場に対してより切実な対応を求められたのは教育機関だった。ChatGPTがもたらす効果は素晴らしく、今後はこうした技術をいかに効果的に活用できるかが教育の質の向上のポイントになることが予測される反面、ChatGPTは課題や宿題を代わりに行わせる「ズル」にも使うことができる。教育機関の関係者にとってこの新しい技術とどう向き合えばよいのかはしばらくの間議論になり続けることが予測される。
こうした懸念に対しOpenAIは、人工知能(AI)技術を使って生成された文章であるかどうかを判断する分類器を試作して公開した。高精度で分類することができれば、教育者の懸念を解消する一つの方法となるとして注目されていた(参考「New AI classifier for indicating AI-written text」)。
しかし、試作版は公開されたものの、実質的にこの取り組みは失敗したようだ。OpenAIは新しいアナウンスを行わずに、前述したAI分類器のブログに文章を追加する形で、2023年7月20日に分類器の使用を停止した旨を発表した。
判断精度が低いことが停止の理由とされており、現在より効果的な技術の開発に取り組んでいるとしている。また、テキストのみならず音声や映像に関しても、AIが生成したものであるかどうかを判断できるように取り組んでいると説明している。