ウェザーニューズとオムロンは7月5日、7つの気象要素を1分ごとに観測でき、日本国内で発生しうるほぼすべての気象現象をカバーする観測幅を持つ新型気象IoTセンサを開発し、「ソラテナPro」としてウェザーニューズより同日から発売を開始した。
“気象のプロ”と“センサのプロ”が新製品開発へ再協力
近年は気象災害リスクの低減に向けた方策として、企業個別での気象観測データ収集に対するニーズが高まっている。顧客からもこうした要望が多く寄せられるというウェザーニューズは、気象観測についての知見やノウハウから、気象観測機の設置が最適解だと考えているという。
しかし従来の気象観測機は、コストが高いことに加え、広い設置面積を必要とする点、通信環境やデータ整理に関する準備にかかる負担が大きい点などから、個社での導入に踏み切りにくい状況にあるとする。これらの課題を解決するため、小型で設置しやすく、安価に観測データを取得できる気象センサが求められていた。
ウェザーニューズは、2017年からセンシングデバイスの開発においてオムロンと協業を開始し、同年6月には小型気象センサ「WxBeacon2」を発表。同製品はユーザーからも好評を集めたとする。そして両社は今回、低コストの小型気象観測機の開発を目指し、2022年3月から共同開発プロジェクトを始動させ、約15か月の開発・検証期間を経て発売に至ったとしている。
国内ほぼすべての気象現象を計測できる気象センサ
ソラテナProは、気温・湿度・気圧・雨量・風光・風速・照度の7要素を1分ごとに観測する総合気象センサだ。ウェザーニューズ Mobile/Internet事業部の上山亮佑グループリーダーは、同製品が持つ最大の強みを、雨量と風速の観測可能範囲の広さだとする。雨量は最大50mm/hまで計測することが可能で、昨今多く発生している線状降水帯での大雨も計測できるという。また風速については、木造住宅を倒壊させる恐れがある50m/sまで計測できるとのことで、上山氏は「日本で発生するほぼすべての気象現象を測ることができる」と話す。
また、複雑な設定が必要なく、電源に接続することですぐに計測を開始できる点も新製品の特徴だといい、電源についても、AC100VとDC5V~12Vの両方に対応が可能。一般家庭向けの電源設備や、ソーラーパネルを活用した太陽電池など、さまざまな電源環境で利用できる点も強みだとする。
スマホアプリ「ウェザーニュース」でもデータ確認が可能
ソラテナProが計測したデータはクラウド上に保管され、APIなどで提供することもできるため、利用者は観測データを自社システムに組み込んで利用することが可能だ。
さらに新製品はウェザーニューズが提供するスマホアプリ「ウェザーニュース」とも連携しており、企業用アカウントで同アプリにログインすることで、ソラテナProが計測する7種類のリアルタイムデータや過去データを20地点まで確認できるとのこと。
また気温・雨量・風速のうち2要素について任意のしきい値を入力することで、それを超えた際にプッシュ通知を発するように設定できる機能も搭載している。
加えて、パソコン版の専用ウェブサイトも用意されており、クラウド上に保存された1日ごとや1分ごとなどの過去観測データを、CSV形式でダウンロードすることも可能だとしている。