米Nianticは6月29日(現地時間)、約230人の人員削減を含む組織再編を発表した。米ロサンゼルスのスタジオを閉鎖し、ゲームプラットフォーム・チームを縮小、「NBA All-World」を終了し、「Marvel: World of Heroes」の製作を中止する。

同社はCOVID-19禍の巣ごもり需要で拡大した収益を成長戦略に投資し、ゲームチーム、AR(拡張現実)プラットフォーム業務、新しいゲームプロジェクトと関連するサポートを拡大させた。しかし、収益がCOVID-19禍前の水準に戻った一方で、ゲームおよびプラットフォームの新規プロジェクトは投資に見合った成果を上げられていない。モバイル市場ではアプリストアやモバイル広告を取り巻く状況が変化しており、新しいモバイルゲームを大規模にローンチして成功させることが難しくなっている。また、世界的なマクロ経済の減速から企業がAR市場への投資に慎重になっている。そうした厳しい状況を乗り越えて持続可能な成長を保てるように、経費を削減して収益とのバランスを図る。

「Meta Quest Pro」や「Apple Vision Pro」など、新しいビデオパススルーデバイスの発表でMR(複合現実)やXR(クロスリアリティ)が注目されているが、それらはNianticが思い描く屋外用ARデバイスへの中間的な足がかりに過ぎない。ARがコンピューティングの将来のフォームファクタになるという同社の企業理念に変わりはないが、そこに至る道のりは長く、現状に応じて戦略と投資を調整する。具体的には、ロケーションとローカルソーシャルコミュニティの価値を伝えるファーストパーティゲームにリソースを集中させ、より小さな組織でより良いものを作る「Do less, better」を目指す。「ポケモンGO」を持続的なゲームとすることを最優先に投資を継続。「Pikmin Bloom」「Peridot」「Monster Hunter Now」の成長の可能性も大きいと見ている。

新しいMRデバイスや将来のARメガネ向けの取り組みにも力を注ぐ。開発者が独自のAR体験を構築し、成長させ、収益化できるようにARマップとARプラットフォームへの投資を継続する。今後のAR/VR/MR/XRヘッドセットについて「断片化」の加速を予想しており、クロスプラットフォーム、WebAR(8th Wallを使用)、UnityベースのAR体験を作成する開発者のエコシステムの構築を優先する考えだ。