医療領域のインターネットサービスを手掛けるメドレーは6月26日、「令和5年度山形県へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」においてNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)と連携して、メドレーが運営するオンライン診療支援システム「CLINICSオンライン診療」、および、かかりつけ薬局支援システム「Pharms」の提供や運用コンサルティングなどを通じた支援を開始したことを発表した。
CLINICSオンライン診療は、離れた場所にいる医師と患者をビデオチャットでつなぎ、オンライン診療と相談をスムーズに実施するための機能を備えたオンライン診療システムだ。また、Pharmsはオンライン服薬指導や服薬フォローアップといった患者コミュニケーション機能に加えて、店舗での待ち時間削減が見込める処方箋の受付管理機能、各種業務システムやオンライン診療とのスムーズな連携機能を搭載している。
山形県の中山間地域である最上地方や村山地方、置賜地方では、常駐の医師や看護師などがいない医療機関が多く、他病院から週2回〜月1回ほど、医師・看護師がへき地診療所に赴いて診療を行う場合がある。
これらの地域は国内有数の豪雪地帯としても知られ、特に冬季における医師の移動負担の軽減や医療提供体制の確保は大きな課題だ。さらに、地域に調剤薬局が少なく薬剤師の確保も困難である。そこで、定期的な通院や服薬が必要な患者のために、継続した受診や処方の機会を提供するための体制構築が喫緊の課題となっている。
メドレーとNTT Comの取り組みは令和4年度に開始しており、令和4年9月22日から翌3月31日にわたって最上地方と村山地方の診療所で実証実験を実施した。実証実験の内容は、へき地診療所に設置した受診用のタブレットPCを用いて、患者は看護師の介助のもと病院にいるかかりつけ医から「CLINICS」を通じてオンライン診療を受けるというものだった。
これに引き続き、令和5年度はへき地診療所だけでなく、一般住民向けのオンライン診療実施モデルの構築を目的として、新たに置賜地域を検証の対象に加える。これらの地域を対象に、一部では薬局からのオンライン服薬指導をオンライン診療と合わせて実施し、診察、処方、服薬指導までをオンラインで完結できる運用モデルの検証に取り組む予定だ。