図研は、2023年6月21日から23日まで東京ビッグサイトで開催されている「第35回 日本ものづくりワールド」内「設計・製造ソリューション展」にて、電気制御や配線設計などのための統合電気CAD「E3.series」などを紹介。ものづくり企業に向けてデータを活用したDXを提案している。

図研が目指す製造データ共通化によるDX

図研が提供するE3.seriesは、電気制御・配線設計においてデータを一元管理することで、品質や作業速度を向上させる統合データベースだ。構想された回路設計をデータとして格納することで、基板間接続図やケーブル図など、配線設計におけるさまざまな作業をデータベース上で行うことが可能になるため、紙図面を通じた複雑な設計作業が簡易化されるという。

また、図面間の連携や帳票類の作成、図面チェックを自動化することで、作業者の工数やミスを削減できるとのこと。付帯業務に費やしていた作業コストを、本来の設計業務に集中できる環境になるとしている。

  • E3.seriesによって電気制御・配線設計のデータを共通化することで、作業効率が向上するという。

    E3.seriesによって電気制御・配線設計のデータを共通化することで、作業効率が向上するという。

さらに、E3.seriesで設計した回路情報とメカCADデータを組み合わせたデータは、図研の「XVL Studio WR」上で3Dモデルとして表示することが可能。同ソフトフェアでは、ケーブル自体の曲がりやすさや、動作(ドアの開閉など)が加わった場合の物理条件などを加味したシミュレーションが可能で、より直感的に配線設計を検討することができるとする。

これにより、経験の浅い作業者における作業ハードルが低減されるといい、今後さらなる深刻化が予想される製造業の人手不足への対策として活用できるとした。

なお図研は、3Dデータを軽量化するフォーマットとして「XVL」も提供している。ノートPCでも使用できるような軽量データながら高精度な変換・表示ができるため、設計部門からサービス部門、または製造ライン構築の検討まで、社内全体での3Dデータ活用によるPLM管理が可能になるとする。

  • 軽量3Dデータフォーマット「XVL」の活用イメージ。

    軽量3Dデータフォーマット「XVL」の活用イメージ。

同社ブース担当者によると、日本の製造業の特性として、設計部門と製造現場が遠く、情報の共有が難しいことがあるという。また製造の上流ではデータが活用されていても、下流では紙図面がいまだに主流となっている場合も多い。図研としては、データの共通化を通じて人手を介する変換作業を削減し、ものづくりに関わる作業者全体でのデータ活用によるDXに貢献したいとしている。