Artec Europe(Artec 3D)は6月21日、長距離用3D LiDARスキャナの新製品「Artec Ray II」を発表した。

  • 長距離用3D LiDARスキャナ「Artec Ray II」の外観

    長距離用3D LiDARスキャナ「Artec Ray II」の外観 (提供:Artec 3D)

3Dスキャナは、対象物の形状を点群で計測することで、デジタル上に正確に再現することができることから、デジタルツインの実用化に向け、さまざまな分野での活用が期待されるようになってきている。

Artec Ray IIは、ある程度離れた距離から広範囲の対象物を3Dスキャンする用途向けにLeica Geosystemsと協力して開発されたモデルで、スキャン速度は従来機(Aetec Ray I)と比べ約10倍となる200万ポイント/秒、300°~360°の視野角で0.5~130mの距離に対応するとしている。また、三次元位置精度は10mで1.9mm、20mで2.9mm、40mでも5.3mmとしているほか、18インチ(0.87mm@10m)の角度正確度、1.0mm+10ppmの距離制度、範囲ノイズ0.4mm@10m~0.5mm@20mの範囲ノイズといった度量衡グレードの精度を提供することが可能だともしている。

さらに、重量は三脚含めて5kgほどで、2台のホットスワップ対応バッテリーを活用することで4時間の連続稼働が可能としている(追加で2台の予備バッテリーも附属。組み合わせて使うことで最大8時間の稼働が可能だとしている)ほか、近距離用途向けのハンディ型ワイヤレススキャナ「Artec Leo」など同社のほかの3Dスキャナと自社ソフト「Artec Studio」を介して連携することで3Dデータのシームレスな統合が可能であり、広範囲の計測をArtec Ray IIで、細かい部分やArtec Ray IIでは測定できない建物の裏側などをArtec Leoで、それぞれ測定しつつ、1つの3Dデータにまとめるといった使い方ができるという。

  • Artec 3D Ray IIで広範囲をスキャン

    Artec 3D Ray IIで広範囲をスキャンし、詳細部分や柱などの裏側などのスキャンが必要な場所をArtec Leoを使ってスキャンするといった組み合わせ利用も可能 (提供:Artec 3D)

なお、同社によると、日本市場は過去5年連続で売り上げトップの地域となったこともある重要市場であるとの認識を示しており、2023年には日本でのプレゼンス強化を目的に東京にオフィスを開設(日本法人名はArtec 3D Japan)。これを機に、すでに日本には数千の顧客がいるが、今後、さらにその増やしていくことを目指すとしている。

  • 日本オフィスは東京の港区に開設

    日本オフィスは東京の港区に開設。オープニングセレモニーには本社のあるルクセンブルグの駐日大使も駆け付けたという (提供:Artec 3D)

Artec Ray IIの提供開始時期は7月末を予定。価格は代理店ごとに代わってくるほか、為替で変化するものの1000万円弱程度を見込んでいるとのことで、従来機と比べて、高性能化した分、若干割高となると説明している。