OKIは、2023年6月21日から23日まで東京ビッグサイトで開催されている「第35回 日本ものづくりワールド」内「ものづくりODM/EMS展」にて、同社EMS事業部とOKIのEMSグループ3社による共同展示ブースを展開。インフラや宇宙などさまざまな領域に展開するOKIグループ全体としてのEMS事業を紹介している。

  • 「日本ものづくりワールド」のOKIブースの様子。

    「第35回 日本ものづくりワールド」のOKIブースの様子。

グループ全体の連携により幅広い業界に価値を提供するOKI

数多くのグループ会社・関係会社が存在するOKIグループは、インフラやFA、医療機器などさまざまな領域で事業を展開している。今回の展示会では、「OKIグループのEMS(製造受託サービス)」という共通項のもと、OKIのEMS事業部・OKIネクステック・OKIシンフォテック・OKIアイディエスの4社合同でブース展示を行っている。

製造業においては昨今、経営資源をコアプロセスに集中させることを目指し、工場や調達におけるコストを変動費化させるため、生産能力をアウトソーシングする水平分業化が加速している。その中でOKIは、設計から調達、製造、そして保守までを一貫してサポートする体制を整えることで、ものづくり企業の経営に貢献することを目指している。

元来より少量多品種生産に強みを持ち、さまざまな領域でEMS事業を推進するOKI。今回のブースでは主に「医療機器」「建設・防災・インフラ」「産業・FAロボット」に提供している製品群を展示している。OKIのEMS事業部に加え、電子機器のEMSを担うOKIネクステック、電源やATMの筐体などを製造するOKIシンフォテックの製品が並ぶ。

また別のコーナーでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケットで採用されているOKIサーキットテクノロジーのプリント配線板や、OKIネクステックが提供する電池交換が不要な環境発電用無線端末など、さらに広い領域向けの製品が紹介されている。

  • 航空・宇宙業界や環境発電用端末、AI環境など、さまざまな領域に貢献している点がOKIの強みだという。

    航空・宇宙業界や環境発電用端末、AI環境など、さまざまな領域に貢献している点がOKIの強みだという。

さまざまな領域にグループ会社を抱えている点はOKIの大きな強みだといい、OKIのブース担当者によると、広い分野における生産に関わるさまざまな技術を保有していることで、同社グループ内でのスムーズな連携を活用し、顧客への迅速な価値提供が可能になると説明した。

また、広い事業領域のニーズに対応する中で、それぞれの領域における認証を受けている点も特徴だとしており、規格としての基準を満たしていることで「OKIとしての信頼性を高めることができている」と話す。

1人が1週間で構築したじゃんけんAIで技術の新たな活用方法を探索

OKIブース内の一角では、FPGAの設計・開発を強みとするOKIアイディエスによる、AI活用のデモンストレーションが展示されている。 AIの開発設計サービスを提供する同社は、今後のAI活用におけるキーデバイスとしてFPGAを挙げる。製品化を見据えたAIの利用では、消費電力が避けて通れない課題として存在する。この課題を解決するため、デバイス側で演算処理を行うエッジAIへの期待が高まっており、その中でも、従来広く用いられてきたGPUに比べて消費電力を低減可能なFPGAは、今後の利用拡大が予想されるという。

今回OKIアイディエスは、ロボットハンドによるじゃんけんのデモ環境を展示。カメラの前で手をグー・チョキ・パーの形にすると、即座に認識してロボットハンドが勝利する手に変化する。手をかざしてからロボットハンドに反映されるまでの時間はかなり短い点が特徴だという。

FPGAを活用したじゃんけんAIのデモンストレーション。

同社担当者によると、このデモ環境ではAMD製のモジュールを使用しており、構築にかかったのは1週間程度だという。この展示は、さまざまな顧客とのAI活用可能性の探索を企図したものだといい、「展示を見に来た方々との対話の中で新たなアイデアが生まれるといい」とのことだ。

急速に普及していったAI技術だが、FPGAはおろか、AI導入に向けて何から着手すればいいのかがわからず、動き出せていない企業は多いという。特に専門技術が求められる設計や製造については、充分な能力を保有していない場合が非常に多いため、OKIアイディエスとしてそうした技術を提供することで、AIの利用拡大に貢献していきたいとする。

また同社に限らず、OKIグループ全体としても、構想はあるものの技術が足りずに実行できていない生産を実現したいとのこと。長年のEMS事業で、広く、そして深く培われた専門技術で、さまざまなものづくり企業を支援していきたいとしている。