米Meta日本法人のFacebook Japanは6月20日、AI(人工知能)を活用したMetaの広告ソリューションを紹介するイベント「Data and AI Performance Summit」を、Meta 東京オフィス(東京都港区虎ノ門)で開催した。日本国内での開催は初。オープニングキーノートでは、Facebook Japan 代表取締役の味澤将宏氏が登壇し、同社がAIとともに成長してきた歴史や、AIを活用して広告効果を最大化する方法などについて説明した。

  • Facebook Japan 代表取締役 味澤将宏氏

    Facebook Japan 代表取締役 味澤将宏氏

昨今、AIに関する話題が世界中を熱狂させている。大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)を筆頭に、テキストから画像を生成するAIツール、AIを活用して動画や音楽を作成するツールなど、目まぐるしいスピードで新たなAI技術が次々と誕生している。同社が「Instagram」のデータを分析した結果、AIに関する話題は前年比で173%増加していることが分かった。

2004年に「Facebook」を世に放ったMetaは、これまでAIと共に成長してきた。例えば、2006年には、ホーム画面上で友人たちの最新投稿がすべて見える場所「ニュースフィード」にAIを活用。2016年には、コンピュータービジョンと自然言語処理を活用した高度な機械学習フレームワーク「PyTorch」をリリースしている。

さらに、2023年2月には研究者向けに提供する大規模言語モデル「LLaMA」を発表、同6月には音声用ジェネレーティブAIモデル「Voicebox」を発表した。「AIは常にわれわれのイノベーションの中心にいる」と味澤氏は語った。

  • MetaはAIとともに成長している

    MetaはAIと共に成長してきた

そして同社は、広告のソリューションにおいてもAIの活用を進めている。2023年5月に発表した生成AIで広告を改良する「AI Sandbox」は、広告コピーのバリエーションや商品の背景画像を自動生成し、画像の不要部分を自動でクロッピングできる。現在は一部の広告主がテスト中で、7月には提供範囲を拡大する予定だ。

  • 「AI Sandbox」サービス概要

    「AI Sandbox」サービス概要

同社は2018年以来、AIの研究開発およびインフラストラクチャの構築に900億ドル投資している。2023年も追加で300億ドルを費やし、発見エンジンの機能強化や、有害コンテンツの検出・削除機能、関連性が高いチャットの自動化など、AI関連のプロダクト開発に投資をしていく予定だ。「われわれにとってAIへの投資は継続的なテーマだ」(味澤氏)

  • MetaはAIに合計1200億ドル投資する

    MetaはAIに合計1200億ドル投資する

また、2022年より提供しているマーケター向けの広告自動化ツール「Meta Advantage」にも力を注ぐ。AIを活用することで、広告作成プロセスの各段階を自動化し、業務効率化を実現する。Meta Advantageは発表してから1年も経っていないが、大きなパフォーマンスの改善が見られており、「広告費用対効果が32%、CPA(顧客獲得単価)が9%、購入数が14%向上している」(味澤氏)とのことだ。

続けて味澤氏は、「AIを活用して広告効果を最大化するためには『Fuel(燃料)』と『Freedom(自由)』が重要なポイントだ。AIに燃料つまりデータを多く与えると同時に、自由を与えることによって広告効果が最大化する」と説明。

  • AIを活用して広告効果を最大化するためにはFuel(燃料)とFreedom(自由)が重要なポイント

    AIを活用して広告効果を最大化するためにはFuel(燃料)とFreedom(自由)が重要なポイント

燃料つまり数多くのデータを提供するために、Metaはプライバシーを信頼性を保ったまま同社の広告更新システムと顧客のマーケティングデータを連携できるAPI「コンバージョンAPI(CAPI)」を用意している。「CAPIを活用することでCPAは13%、購入イベント数は33%改善するということがデータから分かってきている」(味澤氏)という。加えて、データの自由度を高めるために、クリエイティブのバリエーションも増やしている。

  • 「コンバージョンAPI(CAPI)」概要

    「コンバージョンAPI(CAPI)」概要

  • 「Meta Advantage」クリエイティブのラインナップ

    「Meta Advantage」クリエイティブのラインナップ

味澤氏は、「今後もAIへの投資を加速し、広告効果を最大化するそのためのソリューションを引き続き作っていきたいと考えている」と語った。