三菱電機は6月20日、大容量宇宙光通信のキーパーツとして開発した光源モジュールを超小型人工衛星に搭載し、2023年1月に実際に宇宙空間で性能実証に実施し、成功したことを発表した。

  • 宇宙での実証実験が行われた宇宙光通信用光源モジュール

    今回、宇宙での実証実験が行われた宇宙光通信用光源モジュール

近年、人工衛星に搭載されたカメラなどを用いて地球上の様子を撮影し、その情報をもとに災害対応や環境保全などの検討が行われるようになっている。しかし、従来の電波を用いた通信では伝送容量や速度などの課題があり、より高速・大容量の通信を実現する技術の開発が求められていた。

そうした課題解決技術の1つとして期待されるのが光通信で、光源モジュールから放射されるレーザー光線は電波に比べて波長が短く、地上の受信アンテナの小型化も可能となり、応用範囲の拡大も期待されている。

同社でも電波による通信と比べて10倍以上の大容量化や高速化、長距離通信が可能な宇宙光通信の実現に向けた技術開発を進めてきており、今回の実証実験もその一環。今回の実証実験では、宇宙光通信に適用可能な波長1.5μm帯レーザー光源モジュールを、産学連携プロジェクトで短期間開発および低コスト化を目指して開発された超小型人工衛星「OPTIMAL-1」 に搭載し、宇宙光通信で重要なレーザー光周波数制御の宇宙空間での性能実証に成功したという。

  • 超小型人工衛星「OPTIMAL-1」

    超小型人工衛星「OPTIMAL-1」 (C)アークエッジ・スペース/福井大学

具体的には、人工衛星間でレーザー光線を用いた通信を行うには、人工衛星がそれぞれの速度で動くために生じるドップラー効果(レーザー光周波数の変化)を人工衛星の相対速度に応じて補正することが必要となるが、今回開発された光源モジュールでは、そのドップラー補正に十分なレーザー光周波数変化量60GHzを宇宙空間にて実証することに成功したという。

なお、三菱電機では、今回の実証で活用した技術を、大規模な宇宙開発プロジェクトへも提案していくとしているほか、超小型人工衛星を宇宙空間での重要な実証プラットフォームと位置付け、引き続き産学連携の枠組みを活用した研究開発を推進していくともしている。