「Why Japanese people!?」でお馴染みのタレントの厚切りジェイソン氏。そんな彼はテラスカイの執行役員を務めており、同社では本名のジェイソン・ダニエルソンとして活躍している。同社ではダニエルソン氏を中心に公式YouTubeチャンネル「TerraSky TV with 厚切りジェイソン」を4月に開設した。本稿では、YouTubeチャンネルの狙いや展望に加え、同氏の仕事観について紹介する。

  • 厚切りジェイソンこと、ジェイソン・ダニエルソン氏

    厚切りジェイソンこと、ジェイソン・ダニエルソン氏

YouTubeチャンネルの狙いは?

--どのような意図を持ってYouTubeチャンネルをスタートしたのでしょうか?

ジェイソン氏(以下、敬称略):テラスカイのサービスや、良いところを多くの方に知ってもらい、IT業界全体の盛り上がりつながればと考えたからです。ITのことをそこまで詳しくなくても、私のことは少し知っている人でも届くような形になるのかなと期待しています。

セグメントを分けてターゲットしようと考えていますが、ITが詳しくない人に深い情報を届けるような入門編として興味を持ってもらい、面白いと感じて深い知識をつけることにつながればということです。

テラスカイの製品・サービスは幅広く、具体的に何をやっているのか、サービス・製品を使えば何ができるのということは、ある程度ITの知識があっても具体性のある話を聞こうとする機会は、なかなかないと思うので簡単に届けることができたら役立つと思います。 製品・サービスの機能を言葉で羅列するだけだと、伝わらないケースがあります。そのため、再現コントなども取り入れて、抱える課題に対して製品・サービスをこういう使い方をすれば解決できるということを実際に見せながら説明すれば、単なる製品・サービスのデモンストレーションよりは効果的だと考えています。

例えば、テラスカイがSalesforceを導入支援したお客さまを訪ねて、どのように使えて、結果が得られたのかという企画も検討しています。

厚切りジェイソンは日本をどう見ているのか

--グローバルと比較した日本の状況をどのようにお考えですか?国際競争力や円安、人材育成、経済成長の展望など、外国人ならではの視点で教えてください。

ジェイソン:YouTubeチャンネルの1回目の企画で佐藤社長と米国のIT業界との比較について話しました。そのとき話したことは「現場の力」と「経営者の力」のバランスが違うよねということでした。

日本の場合、現場の人たちに立場があるので、せっかく良い製品・サービスを経営者が導入を決めたとしても、なかなか浸透していかないという側面があります。

一方、現在の円安は米国の金利と日本の金利差が1つの原因とされていますが、日本が金利を引き上げて、米国が引き下げるようなことになれば、数年後は以前の為替に戻るのではないかと思います。新型コロナウイルス後の各国の政策で一時的にお金が変な流れになった結果だけだと見ています。

日本企業がグローバルスタンダードの株主に対して、意識的に改革に取り組むことを重視するようになり、日経平均が押し上げられた1つの要因です。ただ、投資するのであればリターンと資産を使い、利益と開発を加速させていくような機会がないと業績が良くなり続けることはありません。

その点が改善されたことは希望の1つです。一時的な為替の問題や金利差の問題などを解決して、そうした状況が続けば強い立場に戻っていくのではないでしょうか。

GDP(国内総生産)は簡単に言えば人口と生産性の問題です。日本は従来から人口減少は想定されていましたし、労働人口は今後も減少していきます。そうなると、生産性の向上にフォーカスすべきであり、ITしかないと思います。ITを活用すれば少人数で大きい結果を出せる可能性もあり、日本は移行期間だと感じています。

一昔前は人数をかければ成り立っていた時代でしたが、そういう時代は終わりつつあります。そのため、ITをしっかりと活用するような企業が日本から多く出てきたら、国際的な競争力は戻ってくるのではないでしょうか。

--日本のIT業界をどのように見ていますか?

ジェイソン:来日して10年以上経過しますが、私が米国で働いていた時に日本に来てすぐに感じたのは、国内で実績が少ない製品・サービスは真剣に評価する傾向にありました。ただ、最近ではそうした考えは変わりつつあります。

  • ジェイソン氏

    ジェイソン氏

例えば、Salesforceは日本市場に参入当初は懐疑的に見られていましたが、現在では実績があるため新機能が出されれば、企業において前向きに検討されるようになっています。ITの素晴らしいところはスモールスタートで簡単にできる点にあります。

特にクラウドはリスク、コストをかけなくても、とりあえず試してみて、上手くいけば拡大しやすい側面があります。使い始めれば成果も出ますし、成功事例を持つ企業は多く存在するので、昔のように日本で使われたことはないという話自体も少なくなっており、導入が容易になっています。そして、データに基づいて論理的な考え方で、経営的な改善が見えやすくなっています。

昔であれば経営者の勘がすべてだったということがありましたが、実際にどうなるのかという点に関して技術を活用できている経営者は勘にそこまで頼らなくても問題ありません。

--確かにそうですね。人材育成の観点ではどうでしょうか?テラスカイにおける企業文化の醸成はどのようにされてますか?

ジェイソン:どちらかと言うとテラスカイは海外寄りの嗜好に近いかもしれません。研修に結構力を入れてますし、新卒も毎年入社しています。基礎を研修で学び、細かい部分については研修後に実際のプロジェクトに入って体験してもらっています。

並行してメンター制度で専門性の高い先輩とタッグを組んで実際に利用する技術を魅せながら、学ぶことで活躍してもらう感じです。文字だけでなく、実際にやることで成長が加速していくため、いち早く現場に入って多く触れることで人材を育成しています。

実際に関わっているプロジェクトの技術でなくても、最先端の技術を常に把握しようとするマインドは全社員に伝わっており、定期的に勉強会や情報共有会などを行い、話し合っています。こうした交流で専門性の高い人たちと常に触れ合うことにより、お客さまにとってベストなものは何かと常に考え直すきっかけになっていると思います。

テラスカイとの出会い、そして仕事観について

--ジェイソンさん自身の仕事観について教えてください。どのような視座・姿勢で仕事に取り組んでいますか?

ジェイソン:私はやることが幅広く、やることによって考え方や接し方とかが変わります。テラスカイでは3つの立場があります。テラスカイ本体の執行役員 グローバルアライアンス事業部長、テラスカイベンチャーズの取締役、米国法人のTerraSkyを担当しています。

やはり楽しく仕事をするのが最も大事だなと思いますよね。つまらない仕事は嫌です。どうせ働くのならば楽しく働きたいというのは、自分のやっていることのすべてに共通するものです。

国内でテラスカイはSalesforce関連では一番強いベンダーと自負しているので、関連した製品・サービスが日本に入ろうとするときに、われわれに相談してくれれば入りやすくはなると思います。海外の企業に対する日本の良さだったり、国内におけるテラスカイの強さだったりをアピールするようなことも楽しみながら取り組みたいと考えています。

--テラスカイに入社する経緯はどうでしたか?

ジェイソン:そもそも米国のSalesforceを扱う企業の日本法人を立ち上げるために来日したときに、テラスカイに出会いました。

日本国内で開催したSalesforce関連のイベントでブースを出展していたのですが、私は1人で製品を説明し、その向かい側にテラスカイのブースがありました。周りのブースは私と同じように1人~2人しかいない企業ばかりなのに、テラスカイのブースは多くの人でにぎわっていて雰囲気も良く、会社としての勢いを感じました。

その時にテラスカイとなら上手くいくなと思いました。「うわぁ……、あそこいいなぁ……」と『オズの魔法使い』に出てくるエメラルドの都みたいな感じで、なぜか輝いていて見えましたね(笑)。そこから話すきっかけを作りました。

その後、佐藤社長(創業者でもあるテラスカイ 社長執行役員の佐藤秀哉氏)と話し合いを重ねましたが、佐藤社長の考え方は論理的だったため、一緒に同じ目標に向けて頑張れると感じ、自分で提案書などを持ち込んだ結果、入社しませんか?という流れでした。お互いに深いところまで話し合って、確認しながら関係を構築していきましたね。

自分のために考えて、実行していく

--ジェイソンさんからビジネスパーソンや就職を控えている学生に対して、何かアドバイスはありますか?

ジェイソン:そうですね、意識は持った方がいいということですかね。自分がどうなりたいのかを日々考えて、それに近づいているかどうか振り返りながら、もし遠くなっていくのであればやり方を変えるたり、更新したりすべきです。

自分で「こういう人生でいい」と思っているのであれば、無理に変える必要はありませんが「自分がそういう人生でいいのか?」ということを日々確認していけば自分が誇りに思える人生になりやすいと感じています。そうしなければ流される人生になってしまいますよね。

  • 自身の持ちネタでもある「Why Japanese people!?」を目の前で披露してくれたジェイソン氏

    自身の持ちネタでもある「Why Japanese people!?」を目の前で披露してくれたジェイソン氏

言われた通りにしかやらない場合もありますし、最初からビジョンを持ってやりたいことに取り組み続ける人もいます。また、最初は目標があったけど途中で脱線したり、途中から目標を持ってそれに向けて頑張れるようになるなど、さまざまな人がいますよね。

ただ、周りに合わせるためだけに物事を決めるのは満足できない結末を迎えると思います。そうならないためには、自分で自分のために考えて、実行していくことが望ましいです。

仰る通りですね。最後に、今後のYouTubeチャンネルの展望について教えてください。

ジェイソン:個人的には面白くやりたいと考えており、自分で楽しんでいる理由の1つです。自分が楽しんでいれば、もしかしたら視聴者も楽しくテラスカイやITのこと知ることにつながるかもしれませんし、それが一番良いですね。

多くのテーマに触れて、多くの人にリーチできるような形で提供したいですし、楽しくないと視聴しないですよね。だからバランスが重要です。

ある程度は真面目なITのコンテンツではありますが、楽しめるものではないとダメですね。楽しくて良いものを多くの人に提供することで、ITを活用するようになり、日本企業の生産性の向上につながる可能性もあります。TerraSky TV with 厚切りジェイソンが日本のGDPを世界一にするかもしれません(笑)。

今後は、新卒入社した人たちとの企画や量子コンピュータなどの先端技術に関する企画などを考えているので楽しみにしていてください。