通信ネットワークの展示会「Interop Tokyo 2023」が、幕張メッセ(千葉県千葉市)で6月14日から16日まで開催された。法人向けクラウドストレージサービス「DirectCloud」を手掛けるダイレクトクラウドの展示ブースでは、米OpenAIが提供する生成AI(人工知能)「ChatGPT」と連携したファイル共有サービス「DirectCloud AI」のデモが披露されていた。本稿では、その概要をお届けする。
DirectCloudは、ファイルを「保護する」「共有する」「活用する」といった3つの利用シーンに沿った、ハイブリッドワークや社外とのファイル共有が行える機能が備わっている。同サービスはユーザー数無制限の定額制で提供しており、第6階層まで設定できるアクセス権や部署ごとに設定できる機能制限など、さまざまな要件に対応している点が特徴だ。
そして、ダイレクトクラウドは現在、ChatGPTを活用したサービスの開発を進めている。クラウドストレージに保存されているドキュメントの内容を解析し、それらに対して質問を投げかけると回答を返すサービスや、長い文章を要約して返してくれるサービスを開発中だ。今回のデモでは、ChatGPTと連携したファイル共有サービスのプロトタイプを披露した。
具体的には、DirectCloud上に保存したファイルに関する質問を投げかけると、それに該当するコンテンツをDirectCloud AIが解析して自然言語で回答してくれる。数百ページあるドキュメントから必要な情報を見つけ出して回答する仕組みで、ファイルを探し出す手間が省ける。
また、保存されたドキュメントから要約した内容をDirectCloud AIが生成することも可能。要点を把握するのに時間がかかる長文のドキュメントなどに適用することで、素早く概要をつかむことにつながるとしている。
「ファイル数が膨大でストレージから欲しい情報が探し出せない。長文のドキュメントを読む時間がない。ドキュメントの要点をつかむのに時間がかかる。DirectCloud AIはそういった課題を解決できる。ファイルをアップロードするだけでAIが学習するので、わざわざデータを作る必要もない」と、執行役員 CPO(Chief Product Officer)の大野朋克氏は説明した。
同社は今後、「海外に情報が流出してしまう」「自社のコントロール下でAIが使えない」といった課題を解決するため、現在使用しているOpenAIのAPIではなく、日本マイクロソフトが提供しているAzure上でAIが利用できる「Azure OpenAI Service」との連携を進めていく。2023年内にサービス提供を開始する目標を掲げている。
大野氏は、「『今月の売上目標金額はいくら?』『先週の会議の議事録はどこ?』、『ファイルを最新の情報に更新して』。ゆくゆくはこういった指示にも答えてくれるようなAIを開発していきたい。また、DirectCloud上だけで使うのはもったいないので、既存の他のシステムに埋め込められるようなサービスの開発も進めていく」と、今後の展望を語った。