デンソー子会社のデンソーウェーブは、6月6日から9日まで東京ビッグサイトで開催されていた世界最大級の食品製造総合展 「FOOMA JAPAN 2023」で、これまで自動化が難しかった不定形物や軟体物を扱う作業を自動化するアプリケーションを、協働ロボット「COBOTTA PRO」のデモとともに展示した。
粘度の高い食品を高精度計量で自動化
近年、食品の製造現場における人手不足が指摘されており、さまざまな工程において自動化を取り入れる動きがある。一方で、不定形物や軟体物を扱う工程においては、定量的に計るのが難しいことや、機械によって食品に傷をつけてしまう可能性があるなどの理由から自動化することが難しかったという。
しかし同社が開発した協働ロボット「COBOTTA PRO」はその難解な壁を乗り越える技術を持っている。
今回はCOBOTTA PROを活用したデモとして、今まで難しいとされていた粘度の高い食品の盛り付け工程を自動化する様子が実演された。
まだ開発段階であるTechMagicの食品用グリッパが取り付けられており、ポテトサラダやコールスローなどの粘土の高い食品を、独自の機構で高精度に計量し盛り付けることを可能にしたというもの。グリッパの下部分は、食品がくっついたままにならないよう対象となる容器にしっかりと落とす仕組みも備えられているという。
また、設置されているカメラによって、どの部分から対象となる食品を掴めば目標の重量に近づけるか食品の盛られ具合(高さ)などから判断することができ、最適な掴む場所を自動で決めているとのこと。
食品によって得意不得意はあるものの、コールスローサラダの盛り付け実証において+8%以下(100g時)の重量精度を達成したとし、今後もさまざまな食品に対応するソリューションを提供したいとブース担当者は語っていた。
組み合わせはかりの自動化で生産性を向上
さらにもう1つCOBOTTA PROを活用したデモとして、従来は人が対面で行っていた組み合わせはかりの食材計量工程を自動化できる様子も実演された。
今回は明太子が例に実施されていた。指定の重量を設定しておくと、人が計量器に明太子を置きさえすれば、あとは計量器が指示したところをCOBOTTA PROが認識し自動でピッキングしてくれる仕組みだ。
今まで組み合わせはかりの作業は人がしており、時間と労力がかかるとの声を多く受け取っていたという。COBOTTA PROを活用すれば、既定量の食材計量に対する分業・省人化を可能とし、生産性を向上させることができる。
また、ソフトカバーによって崩れやすい食材を把持することも可能であるほか、コンパクトでありながらも関節部に手が巻き込まれない安全構造を有しており、生産性と安全性の両面を確立しているのだという。
ここですべてを自動化できないのか疑問を持つ方もいるかもしれないが、傷みやすい食材を扱う場合もあり、すべてを自動化すると食材の品質を損なう可能性があるため、あくまで人が作業をしていて大変だった部分を自動化し、作業効率を上げることに焦点をあてているとブース担当者は語っていた。