ガートナージャパン(Gartner)は6月7日、国内企業におけるソフトウェア・プラットフォーム・テクノロジーの利用状況を調査し、結果を発表した。
現在利用中のプラットフォームは、ビジネス・プロセス・オートメーション(BPA)が54%と最多で、サービスとしての統合プラットフォーム(iPaaS)が52.3%、API管理が51%と、6種類のうち3種類が過半数を超えている。1年以内に利用予定という回答を合わせると、データ統合ツール、ローコード/ノーコード開発ツールも50%を超え、イベント駆動型テクノロジーも半数近くになる見込みだという。
ガートナージャパンのシニア ディレクター アナリスト飯島公彦氏は、次のように述べている。
「API、クラウド、モバイル・デバイスなどの普及と進化によるアプリケーションの多様化により、企業での多様なプラットフォームの利用が拡大しています。結果として、企業において利用するソフトウェア・エンジニアリングのプラットフォームは、複数種類が必要となると同時に、今後さらに増える傾向にあります」
今回の調査で最も利用率の高かったBPAは、従来はビジネス・プロセス管理(BPM)のカテゴリで認識されていたが、DXや働き方改革の取り組みが活発化した数年ほど前から、業務の効率化・省力化・高速化に向けた自動化という文脈で関心が高まり、コロナ禍をきっかけに急激に導入が進展したとGartnerはみている。
また、API管理の利用率はBPAとiPaaSに次いで3番目だが、1年以内の利用予定も含めると最多になると見込まれている。APIの普及にはAPI間の接続や変換だけでなく、APIの適切な利活用の促進と維持のためにAPI管理のテクノロジーが不可欠であり、APIの組み合わせによるアプリケーション構築が拡大するにつれ、今後もAPI管理テクノロジの適用が拡大すると同社はみている。
各種SEプラットフォームの導入を計画するアプリケーション/ソフトウェア・エンジニアリングリーダーは、多様なテクノロジーの増加を適切に管理するための対策に着手する必要に迫られているとし、拡大する複数のプラットフォームの利用状況を部門横断的かつ定量的に可視化する、全社的なプラットフォーム環境のあるべき姿と各種プラットフォームに必要なケイパビリティを洗い出し、プラットフォーム・テクノロジの選定基準、ガバナンス・プロセス、管理基準とそれらを遂行するプロセスを作成することなどを対策として挙げている。
飯島氏は「SEプラットフォームの選定や管理に当たっては、アプリケーションが実現すべきビジネス成果にひも付いた、ユースケースから導出される個別プラットフォームの要件と、全体としてのあるべき姿との整合性の両面からチェックを行うことが重要です。その際には、必要に応じて、ビジネス・テクノロジストや市民開発者リーダーも含めることに留意すべきです。実現すべきビジネス価値や目的を置き去りにした『画一的な標準化』や、重複投資やガバナンスの齟齬といった企業リスクを招く『案件ごとの個別最適』の視点のみで選定や管理を進めることのないよう注意する必要があります」と述べている。