情報通信研究機構(NICT)は5月24日、ソニーセミコンダクタソリューションズと共同で、飛翔中ドローン間の60GHz帯無線を用いたデータ伝送実験を試み、2機のドローンを用いたすれ違い飛行に伴う0.5秒程度の通信スポット通過時間で120MBのデータ伝送に成功したと発表した。
リンク確立までに数秒を要する一般的な通信規格では難しい飛翔中の、ごく短時間で生じる超高周波帯通信スポットの利用率が向上し、実験では、通信可能時間のうち、99%に及ぶ区間を実際のデータ伝送に利用できることを確認したという。
また、ドローン2機が一定距離を保って飛行するようにルート設定し、追従飛行させることで、ドローンが作る60GHz帯通信スポットを追尾し、通信リンクを維持することによって、通信可能時間を延長することができた。
具体的には、ドローンの追従飛行を行った30秒間で、10GBを超える大容量データを伝送できることを確認。ドローンが滞空飛行することが難しい場面や、そもそも滞空飛行ができない航空機種を用いる場面では、すれ違い通信による、航空機の機動力を損なわないデータ伝送が有効であると同社は考えている。
一方で、より大容量なデータを伝送する必要がある場面では、追従飛行などによってリンク維持時間を延長することも可能で、これらを状況によって使い分けることが有効であることが分かったとしている。
今回の成果によって、超高周波デバイスを搭載した行き先の違うドローン同士が、適切な飛行ルートを計画・実行することで、データの交換・共有を行う上空ネットワークの構築が期待できるとのこと。また、滞空飛行ができない航空機種であっても、すれ違いざまに超高周波通信を利用することができ、飛び交う航空機が状況に応じて連携し合う大容量データ伝送技術への展開につながるとしている。