文部科学省(文科省)は5月19日、「イプシロン6号機に関する調査・安全小委員会」ならびに「イプシロン6号機対策本部 第3回会合」を開催し、打ち上げ失敗の原因究明に係る報告書を取りまとめたことを発表した。
2022年10月12日に打ち上げに挑んだイプシロン6号機は、打ち上げ途中に第2段RCSの片側で異常が発生し、機体の姿勢を正常に制御できなくなり、衛星の軌道投入に失敗。その後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)ならびに文科省は、打ち上げ失敗の原因究明を目指した調査を実施。2023年4月18日に、ダイアフラムのシール部に不具合が生じていたことが原因であったと報告された。
ダイアフラムシール部から推進薬が漏洩した背後要因として、フライト実績品に対する確認不足があったことが確認され、それを踏まえた今後の再発防止策が策定されることとなり、イプシロンの後継機となるイプシロンSにその知見が活用されることとなる。
イプシロンSは、当初2023~2024年度の実証機打ち上げが計画されていたが、ペイロード側(ベトナム向け地球観測衛星「LOTUSat-1」)の都合から現在、2024年度の打ち上げ予定となっているが、対策として「現タンク設計変更案」と「H-IIAタンク活用案」の2案が検討されており、2023年夏前をめどにどちらかの代替手法を採用するかを決定し、設計を進める予定としている。
また、イプシロン6号機の原因究明中の2023年3月7日にはH3ロケット試験機1号機の打ち上げに失敗。今後、H3ロケット試験機1号機の対策本部にて、H3ならびにイプシロンの打ち上げ失敗に共通するような背後要因がないかといった観点も勘案しながら、継続して原因究明作業を進めていくともしている。