日本電信電話(以下、NTT)は4月27日、コンクリート構造物の撮影画像から構造物に発生した劣化を検出し、その大きさを自動的に計測できる技術を確立したことを明らかにした。実設備における検証では、メジャーを用いた実測値との誤差は110%未満の精度であったという。

  • 劣化計測技術の概要

    劣化計測技術の概要

この技術により、市販のデジタルカメラで構造物の画像を撮影するだけで劣化の大きさを自動計測できるようになるため、従来のメジャーや専用車両を用いた計測作業が不要になる。点検稼働やコストの削減が見込めるとのことだ。

今回開発したスケール推定技術は、独自アルゴリズムによりコンクリート表面情報を解析しており、汚れが付着した構造物の画像からでも画像スケールを推定可能だという。撮影画像を矩形領域に分割した後、特徴の異なる2つのAI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いて矩形領域を解析して、汚れが少ない矩形領域のみを抽出し画像全体のスケールを推定している。

1つ目のAIは、汚れが少ない矩形領域が入力された場合に正解の画像スケールに非常に近い値を推定可能だが、汚れが多い矩形領域では推定値が正解から大きく離れる特徴を持つ。一方、2つ目のAIは汚れの程度に関わらず正解の画像スケールに近い値を推定する。これらを組み合わせて、両AIの値が近い場合は汚れが少なくスケール推定に適した領域、離れた場合は汚れが多くスケール推定に適さない領域として判断する仕組み。

  • 開発したスケール推定技術

    開発したスケール推定技術

通信用トンネルに発生した30本の露筋を対象に、劣化計測技術の性能検証を実施した結果、同技術により自動計測した露筋の実寸長さの平均の誤差は9.4%、最大の誤差は17.8%だったという。既往技術で発生した最大の誤差52.7%の露筋を同技術では誤差17.1%(約7割抑制)で計測でき、実設備においても安定した精度で計測できることを確認している。

  • 検証試験の結果

    検証試験の結果