IntelのPat Gelsinger CEOが、2021年に同社CEOに就任して以来、初めてとなる中国訪問を行い、中国中央政府の韓正 国家副主席ら、複数の政府要人と会談し、同社の中国事業の強化に向けた話し合いを行ったと、中国および台湾の複数メディアが報じている。

Gelsinger CEOは、4月11日に北京にて自社イベント「Intel Sustainability Summit」を開催。その席で、Intelの持続可能な開発戦略における中国の重要性を強調するとともに、中国EVメーカーとの戦略的協力関係の強化など、中国でのビジネス強化に向けた取り組みをアピール。中国政府要人との会談はその前後に行われたようである。

韓正 国家副主席がIntelの中国投資を歓迎

中国国営の新華通信社によると、中国の韓正 国家副主席は4月12日、北京でGelsinger CEOと会談し、「中国は改革開放という基本的な国家政策を堅持しており、引き続き外国企業により良いサービスを提供し、すべての国の企業と新たな発展の機会を共有する」と述べたという。また、同氏は「経済のグローバル化は誰も抗うことができない傾向であり、多国籍企業は困難や課題を克服して、世界の貿易と産業におけるより良い協力を促進する必要がある。Intelが中国市場に積極的に関与し、米中の経済および貿易協力を促進し、世界の産業およびサプライチェーンの安定性を維持することに貢献することを歓迎する」とも述べ、Intelの中国での事業強化を促したという。

対するGelsinger CEOも中国の経済的および社会的発展の成果を高く評価し、「Intelは中国市場の見通しについて楽観的であり、引き続き投資を増やし、中国との協力を深める」と述べたという。

また、中国政府商務部の王文濤 大臣は、Gelsinger CEOと会談を行ったことを同部Webサイトで公式に発表している。王大臣とGelsinger CEOは、米中の経済貿易関係、半導体産業サプライチェーンの安全と安定の維持、中国におけるIntelの発展について意見を交換した模様である。さらに、Gelsinger CEOは、中国工業・情報化部の金壮竜 部長とも会談を行ったようで、金氏は「中国は先進的な製造業の発展を重視しており、外資の進出に好条件を提供する」とGelsinger CEOに話したと伝えられている。

  • IntelのPat Gelsinger CEOと中国政府商務部の王文濤 大臣との会談の様子

    IntelのPat Gelsinger CEOと中国政府商務部の王文濤 大臣との会談の様子 (出所:中国省商務部)

世界最大の半導体市場「中国」

Gelsinger CEOは、4月11日開催のIntel Sustainability Summitにおいて、中国のパートナーや顧客と40年近くにわたって関係を構築してきたこと、中国市場が重要な役割を担っていること、中国パートナーとの協業は、IT製品の研究、開発、および生産にとって重要であるといったことを述べたという。

中国には、今年に入ってQualcommのCEOやASMLのCEOも訪問しており、こうした動きについて中国メディアでは、「世界の半導体産業のサプライチェーンにおける中国の重要性を浮き彫りにしたもの」と伝えている。

実際、中国は多くの半導体メーカーや製造装置メーカーにとって世界最大の市場であり、今後も成長が期待される地域。そのため多くの米国企業が、米国政府の対中半導体輸出規制下でも、好機を逃すまいと研究開発面での協力や、販売面においても中国モデルを用意するなど、中国での事業を発展させようとしている。