4月5日から7日まで、東京ビッグサイトで開催されているIT展示会「Japan IT Week【春】」。同展示会はIT分野を網羅しており、11の専門展から構成されている日本最大級のIT展示会となっている。本稿では、11個の専門展のうち、メタバース活用EXPOに出展している山口県から萩市・長門市・下関市が行う「働き方を支援する取り組み」を紹介する。
山口県では「サテライトオフィス」や「ワーケーション」について、先進的な取り組みを多く行っているという。
萩市の取り組み
萩市は、山口県の北部に位置する日本海に面した市で、中心部は日本有数の規模を誇るデルタ地帯に発展している。
そんな萩市が注力している事業は「ワーケーション」だ。ワーケーションとは、「Work=仕事」と「Vacation=休暇」を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地など、普段のオフィスとは離れた場所で休暇を楽しみながら働くスタイルのこと。
萩市では、さまざまな形式があるワーケーションの中でも「歴史×ワーケーション」に注力しているのだという。
萩市は吉田松陰や高杉晋作といった歴史上の偉人を多く輩出している都市として有名であり、今でも神社や城下町などの歴史的な建造物が数多く残っている。
2022年には、5月~11月の半年間をかけて旧湯川家屋敷や伊藤博文別邸といった萩市の文化財施設でワーケーションに関する実証実験「はぎ文化財ワーケーション」を行うなど、歴史とワーケーションを融合した先進的な取り組みを行っている。
下関市の取り組み
下関市は山口県西部で本州最西端にある都市で、人口は県庁所在地の山口市を上回り、県の中で最大でもある山口県の「顔」ともいえる市だ。
そんな下関市では、2023年8月に中心市街地に県内最大規模のオフィスビルが完成予定なのだという。
そもそも、下関市は年間を通した温暖な気候や地震の少なさ、アクセスの良さなどから「サテライトオフィス」に向いている都市として、さまざまな企業に選ばれているのだそう。
そこで今回の新たなオフィスビルを建設することによって地元の企業だけでなく、東京や他の地域に本拠地を置く企業のサテライトオフィスとしての活用も促すことを狙っているとのことだ。
長門市の取り組み
長門市は、山口県北部にある日本海に面した市で、城下町であり行政機関の集まる萩市と比較し、道路網・鉄道網の陰陽連絡路線が発達したこともあり交通の要衝となっている。
そんな長門市が注力しているのは、西日本トップクラスのサテライトオフィス開設支援制度の整備だ。
長門市では、都市部の企業などが長門市内に進出するために設置するサテライトオフィスの整備費および運営費の支援に力を入れており、整備費では1回限り2500万円までの補助金が受け取れる。運営費は最大5年もの間、通信回線使用料や不動産賃貸料、通信機器等のリース料に対する助成を受けられ……と、その支援は手厚い。
このように、長門市や萩市はなぜワーケーションやサテライトオフィスによる企業誘致に尽力しているのだろうか。それは、両市は山陰地方に分類される地域に属していることから、全国的な高速交通体系から外れているほか、山陽側の都市と比べて発展しておらず、企業がなかなか進出しにくい地域なのだという。
特に山口県の瀬戸内海沿岸には、大正時代から造船、化学、機械、金属などの工場が数多く立ち並ぶ工場地帯があり、全国有数の工業県として栄えていることもあり、県内でも異なる地域を選ばれてしまうことが多かったのだという。
今後はワーケーションや充実した支援を拡充していくことで、地域に企業を誘致していくとのことだ。