大日本印刷(以下、DNP)と三菱UFJ銀行は3月29日、ブロックチェーンなどの分散型技術を利用して自身で個人のアイデンティティを管理する、「分散型ID」に関する技術開発および事業化の検証を目的とする基本合意書を締結したことを発表した。

両社は、個人の属性や学歴、資格、職歴などのアイデンティティを自ら管理し証明できる社会や、企業がデジタル技術を活用して高度な人的資本経営を可能とする社会の実現を展望している。今回の基本合意書に基づいて、自己主権型のVC(Verifiable Credentials:デジタル証明書)の発行やDID(Decentralized Identifiers:分散型識別子)に関する技術検証と、これらを活用するビジネスの事業化検証を進めるとのことだ。

  • 両者が目指す社会の概要図

    両社が目指す社会の概要図

具体的には、学校業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を目指して、学校の教務窓口での身分証明書の提示や書面による諸手続きを介さずにオンラインで各種証明書の入手が可能となる仕組みを構築する。

在学証明や学習履歴、卒業証明書などのデジタル証明書を発行することで、学生が自身に関連する情報をスマートフォン上で自ら管理し、デジタルIDとして活用できるよう実証実験に着手する。

また、高度な人的資本経営や自律的なキャリア形成実現などを支援する基盤構築にも取り組む。個人の学歴や資格、スキルなどをデジタル証明書として発行できるネットワークを構築し、就職や転職の場面での活用を目指すとのことだ。

これにより、現状はキャリアごとに分断されている個人のアイデンティティが統合され、自律的なキャリア形成とその自己証明が可能になるという。社員のキャリア可視化を通じて、企業の高度な人的資本経営についても検証する。