Intelの共同創設者で、「ムーアの法則」の提唱者として知られるGordon Moore(ゴードン・ムーア)氏が3月24日に亡くなられたのを受け、多くの半導体業界関係者から哀悼の意が表されている。
米国半導体産業協会(SIA)は、社長兼CEOであるJohn Neuffer氏の名前で、「SIAは、歴史上最も偉大なパイオニアで革新者の1人であるGordon Mooreの死を悼む。ムーアの法則によって具体化された彼の象徴的なビジョンは、半導体技術を新たな高みへと推進し、世界を永遠に、そしてより良い方向に変えた無数のイノベーションを刺激するのに役立った。彼の死は時代の終わりを意味するが、彼の遺産は永遠に生き続ける」との声明を出した。
また、IntelのPat Gelsinger CEOは、哀悼の意を表したうえで、「Gordonはトランジスタの力を明らかにすることに尽力し、何十年にもわたって技術者や起業家に影響を与えてきた。Intelはムーアの法則に触発され事業を拡大してきた。私のキャリアと人生の多くは、Intelの指揮を執るGordonのリーダーシップに支えられた可能性の中で形成されたものであり、彼の遺産を引き継ぐという名誉と責任に恐縮している」と同社のプレスリリースにて述べている。
このほか、AppleのTim Cook CEOは、自身のTwitterで「世界は、シリコンバレーの礎を築いた父親たちの1人であり、技術革命への道を開くのに貢献した真に先見の明のあるGordon Mooreという巨人を失った。私たち全員が彼に感謝の意を表する。安らかでありますように」とつぶやいたほか、TSMCは、同社の公式LinkedInで「1965年のムーアの法則の明確化は、業界の基本的な指針の1つである。そして彼の献身は、多くの世代の将来の才能に刺激を与え続け、未来に向けて革新をもたらすだろう。当社の創設者であるMorris Chang博士は『Gordonは60年以上にわたり、尊敬してきた偉大な友人だった。Gordonがいなくなったことで、私の初期の半導体業界の仲間のほぼ全員がいなくなってしまって寂しい限りだ』と述べている」とのコメントを発表した。
先端半導体研究機関のベルギーimecのLuc Van den hove CEOも、同社の公式LinkedInにて「彼の画期的な仕事は、今日のデジタル時代への道を切り開いたことである。ムーアの法則は信じられないほど正確であることが判明し、その予測を超えて成長し、今日も当てはまる業界の原動力になった。彼の先見の明と技術的専門知識は、コンピューティング技術の発展と世界経済の成長に大きな影響を与えてきた。私たちは、ムーア博士の遺産をさらに発展させていく所存である」とコメントを出している。
なおimecは2016年、Gorgon Moore氏に対し、生涯にわたり、半導体ナノエレクトロニクスのイノベーションに貢献した産業人を讃える賞「Lifetime of Innovation Award」を授与しているほか、2022年開催の「imec Technology Forum Japan 2023」の基調講演にて、Van den hove CEOが「Moore's law will not stop(ムーアの法則は終わらない)」と繰り返し述べ、その実現のために「imecはムーアの法則を継続させるために全力を尽くす」と力強く語っていた。